小型SAR衛星「スサノオ-Ⅰ」との初交信成功
2025年3月15日、ニュージーランド・マヒア半島の発射場から小型SAR衛星QPS-SAR9号機「スサノオ-Ⅰ」が打上げられました。このミッションは、ロケット・ラボ社のロケットElectronを用いて実施され、初交信にも成功したことが報告されています。
打上げの詳細
小型SAR衛星「スサノオ-Ⅰ」は、2025年3月15日(土)9時00分(日本時間)に発射され、9時55分には予定の軌道に投入。この約90分後には、無事初交信を果たし、衛星の各機器が正常に動作していることを確認しました。今後はアンテナの展開や初画像の取得に向けた調整が進められる予定です。
ロケット・ラボの成功の背景
ロケット・ラボ社のCEO、ピーター・ベック氏は、今回の打上げ成功を祝うとともに、ミッションの柔軟性を強調しました。Electronロケットは、顧客に対し打上げスケジュールや軌道を自由に選番できる環境を提供し、各社の衛星コンステレーション構築を支援する役割を果たしています。また、今後もQPS研究所の衛星打上げをサポートする計画だと述べました。
QPS研究所の展望
QPS研究所の代表取締役社長である大西俊輔氏は、打上げミッションへの尽力に感謝の意を表しました。特に、衛星を福岡からマヒア半島に届けるまでの迅速なプロセスに感動したと語っています。彼は今後控える7機のQPS-SARの打上げに期待を寄せ、引き続き安定した打上げを希望しています。
SARとは?
小型SAR衛星は、特に地表を高解像度で撮影可能な能力を持っています。SARとは合成開口レーダーの略で、電波を使用し、天候に左右されることなく地表の状態を把握できる特長があります。これにより、宇宙からのデータ収集が飛躍的に進化することが期待されています。
さらなる展開
QPS-SARプロジェクトは、今後も続々と衛星を打上げる計画があります。2028年5月末までに、24機の衛星から構成されるコンステレーションの構築を目指し、その後最終的には36機に至る予定です。これにより、平均10分ごとにリアルタイムでの観測データを提供するサービスが実現します。
このコンステレーションによって、地球の状況を把握するための高精細なデータ提供が可能になり、自然災害や環境保護など多様な分野での利用が期待されています。
QPS研究所のアイデンティティ
QPS研究所は2005年に福岡で設立された宇宙開発企業で、九州の地から宇宙技術の進展を目指しています。企業名のQPSは「Q-shu Pioneers of Space」を意味し、地域の宇宙産業の開拓者であることを表しています。若手技術者から名誉教授まで、さまざまな専門家が集結し、宇宙技術の開発に取り組んでいます。
おわりに
小型SAR衛星「スサノオ-Ⅰ」の打上げと初交信の成功は、地球観測技術の新たなステージを開くものであり、宇宙産業全体の発展にも寄与することでしょう。これからの進展が非常に楽しみです。