TQMの進化を探る
2025-06-25 10:49:24

第119回品質管理シンポジウム開催報告:TQMの進化を探る集い

2025年6月5日から7日まで、大磯プリンスホテルで第119回品質管理シンポジウム(以下、QCS)が開催されました。主催は一般財団法人日本科学技術連盟(以下、日科技連)で、本シンポジウムでは、500名を超える参加者が集まり、テーマは「経営環境の変化に適応するためのTQMの進化~基本の最先端な実践とさらなる飛躍~」です。このテーマの下、参加者は今後の品質管理の進化に向けて貴重な意見と知見を持ち寄り、活発な討論を展開しました。

シンポジウムの意義


今回のシンポジウムは、単なる品質管理の枠を越え、経営環境の変化に対応しつつTQM(Total Quality Management)をどのように進化させるかを模索しました。顧客のニーズや価値観の変化、SDGsに象徴される多様な価値の重視、そして個々の働き方の多様性を捉えながら、TQMの理念を再構築する必要があると強調されました。また、自社だけでなく、バリューチェーン全体での品質保証の重要性や、生成AIやデータ連携の活用といった先端技術がTQMをどう革新できるかも焦点にされました。シンポジウムの基調講演を担当した慶應義塾大学の山田秀氏は、「変えてよいもの/変えてはならないもの」を見極め、実践的な指針を探ることが重要だと訴えました。

プログラム内容


シンポジウムの主要なプログラムは、講演、グループ討論、総合討論の3つから構成されていました。

6月5日(木)

  • - 特別講演: 「進化を続けるAIの行く先 ~人とAIが共生する社会とは?~」
- 講師: 栗原聡氏(慶應義塾大学 理工学部 教授、人工知能学会 会長)

6月6日(金)

  • - 基調講演: 「経営環境の変化に適応するためのTQMの進化」
- 講師: 山田秀氏(慶應義塾大学 理工学部 教授)
  • - 講演1: 「残すに値する未来を考える」
- 講師: 安宅和人氏(慶應義塾大学 環境情報学部 教授、LINEヤフー株式会社シニアストラテジスト)
  • - 講演2: 「時流に迎合せず、時代に適応する ~東レの経営方針と実践事例~」
- 講師: 日覺昭廣氏(東レ株式会社 代表取締役会長)
  • - 講演3: 「三菱地所の目指すまちづくりにおける『エリマネDX』とは」
- 講師: 井上俊幸氏(三菱地所株式会社 執行役常務)
  • - 講演4: 「経営改革につながる働き方改革 ~DXと働き方改革により旅館をCS(顧客満足度)、ES(従業員満足度)、Profit(利益)の高い『憧れの職業』に~」
- 講師: 宮﨑知子氏(株式会社陣屋 代表取締役 女将)

各講演者はAI活用や経営基盤の改革、そして働き方改革の重要性を訴え、実践的な知見を提供しました。これらの内容を踏まえたグループ討論が行われ、参加者はそれぞれの視点から議論を深めました。

参加者間の交流


QCSでの最大の魅力は、参加者同士の交流です。夜には「談話室」や夕食会が開催され、経営幹部同士が情報交換や人脈形成を行い、貴重な意見を交わす機会が提供されました。

シンポジウムのまとめ


最終日に、山田氏からの「第119回QCSのまとめ」が発表されました。討論の中で、参加者が導き出した「変えてはならないもの、変えるべきもの」が提示され、QCSの成果が着実に形となったことが明らかになりました。

次回のQCSは、2025年12月4日から6日に開催予定で、早稲田大学の永田靖教授が主担当組織委員を務めます。テーマは「顧客価値創造に対応する組織能力獲得に向けて『改善活動』を見直すこと」で、環境の変化に対応するための多様な可能性を探る内容になる見込みです。経営環境が激変する中で、改善活動の本質を見つめ直し、新たな道を模索する参加者が期待されています。


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会社情報

会社名
一般財団法人日本科学技術連盟
住所
東京都新宿区西新宿2-7-1小田急第一生命ビル4階
電話番号
03-5990-5842

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