日本企業の水資源保全に向けた国際協力：ジャパン・ウォータースチュワードシップ始動

日本の水資源保全に向けた新たな取り組み

最近、日本では水に関する様々な課題が顕在化しています。水道インフラの老朽化、料金の高騰、加えて担い手不足による水源涵養林の荒廃は深刻な問題です。さらに、異常気象がもたらす干ばつや豪雨は農作物の収量に影響し、原材料価格の高騰を引き起こしています。これらの課題に対処するため、企業が協力して水問題に取り組む必要性が増しています。

この度、5つの企業が国際的な水の持続可能性をリードする「Alliance for Water Stewardship（AWS）」と協力し、「ジャパン・ウォータースチュワードシップ（JWS）」を始動しました。本取り組みは2025年から日本をウォータースチュワードシップ推進の戦略国として位置づけ、その重要性を高めることを目的としています。

JWSの主な目的と活動内容

JWSは、スコットランドに本部を持つAWSと連携し、日本国内の企業に対して「流域での責任ある水資源管理」を促進することを目的としています。具体的な活動内容として、以下の活動が予定されています。

- 日本語プログラムの提供による研修
- 企業間のネットワーキングの強化
- 流域やサプライチェーンにおける協働活動の推進
- 行政機関との連携の強化

これにより、国内外で顕在化する水リスクに対する影響力を高めていくことが期待されています。企業が業界を超えて協力し、流域の水資源保全に取り組む環境が整備されることで、日本の水資源管理がグローバル水準に押し上げられます。

各参加企業のウォータースチュワードシップへの取り組み

1. MS&ADインシュアランスグループ

MS&ADインシュアランスグループは、地域の流域治水や水循環保全に取り組んでいます。地方創生を目指し、大学や金融機関等との協力でリジリエントでサステナブルな社会を築くための仕組みを構築中です。

2. 栗田工業株式会社

栗田工業は、水処理に関わる製品・サービス等を提供し、環境課題の解決に貢献しています。AWSに参画し、持続可能な水資源管理にも焦点を当て、地域のコレクティブアクションにも参加しています。

3. サントリーホールディングス株式会社

サントリーは、国内初となるAWS認証を取得し、現在も最高位認証「Platinum」を保有企業としてその評価を確立しています。また、国内でのウォータースチュワードシップの浸透を目指した活動を推進しています。

4. 日本コカ･コーラ株式会社

日本コカ･コーラは、世界19拠点でAWS認証を受け、流域の責任ある水資源管理に取り組んでいます。多様なステークホルダーと連携し、国内でのウォータースチュワードシップ実践の牽引役を果たしています。

5. 八千代エンジニヤリング株式会社

八千代エンジニヤリングは、流域の水資源に係る調査・解析を行い、国や地方自治体の水管理政策立案にも関与しています。AWS導入支援を通じて流域の健全性向上も促進しています。

期待される結果

エイドリアン・シムCEOは、日本におけるウォータースチュワードシップには既に多くの優れた企業が存在し、彼らが直面する水リスクに対して迅速な行動が求められていると述べています。JWSの立ち上げが、さらなる協力を促し、水資源の持続可能な利用へ向けた新しい時代の幕開けとなることを期待しています。より多くの仲間と共に、より良い水の未来を築くための道を切り開く手助けになることでしょう。