田原桂一展「存在」
2023-05-16 12:00:02

写真家・田原桂一展「存在」:光と身体の融合、巨匠たちの肖像に迫る

写真家・田原桂一展「存在」:光と影の詩情、そして人間の深淵



2023年6月17日から7月15日にかけて、東京都新宿区の√K Contemporaryにて、写真家・田原桂一の没後初の個展「存在」が開催されました。本展では、1978年から1980年にかけて、田原桂一がダンサーの田中泯氏とのコラボレーションで制作した「Photosynthesis」シリーズを中心に、約60点の作品が展示されました。

「Photosynthesis」:光と身体の交響曲



「Photosynthesis」シリーズは、光と身体の融合をテーマに、まるで光合成を行うかのような、神秘的な作品群です。躍動感あふれる田中泯氏の身体と、繊細に調整された光が織りなす、独特の世界観は、見る者の心を深く揺さぶります。モノクロームで表現された作品群からは、静寂の中に潜む力強さ、そして生命の息吹が感じられます。まるで、光と影が織り成すダンスを見ているかのような、ダイナミックでありながら繊細な表現は、田原桂一の卓越した技術と感性を証明しています。

巨匠たちの肖像:「存在」の探求



地下の展示空間では、クリスチャン・ボルタンスキーやヨーゼフ・ボイスといった、世界的に著名な芸術家を被写体とした「Portrait」シリーズが公開されました。これらの作品は、単なる肖像写真にとどまらず、それぞれの芸術家の内面、人間としての「存在」を深く見つめた、力強いポートレートです。知的な眼差し、静謐な表情、そして作品から漂う独特のオーラは、見る者に、彼らの芸術性と人間性を改めて考えさせる機会を与えてくれます。

田原桂一:光と影の芸術家



田原桂一は、1951年京都府生まれ。1971年に渡仏後、ヨーロッパの鋭い光に衝撃を受け、写真家としての道を歩み始めました。パリを拠点に活動し、光をテーマに写真、彫刻、インスタレーション、建築と、多岐にわたる分野で活躍しました。アルル国際写真フェスティバル大賞を始め、数々の賞を受賞し、カルティエやドン・ペリニヨンといった世界的ブランドのブランディングコンサルタントも務めました。彼の作品は、光と影の繊細なコントラスト、そして人間の存在感への深い洞察によって特徴付けられています。

√K Contemporary:現代アートの新たな拠点



本展を開催した√K Contemporaryは、2020年3月に神楽坂にオープンしたギャラリーです。戦後から現代、そしてコンテンポラリーアートまで幅広く紹介しており、時空や国境を越えた芸術体験を提供することを目指しています。

まとめ



田原桂一展「存在」は、光と影、そして人間の「存在」を深く見つめた、感銘深い展覧会でした。「Photosynthesis」シリーズと「Portrait」シリーズの対比は、まさに本展のテーマを象徴しています。光と身体、そして人間の深淵に迫る、この機会をぜひお見逃しなく。

会社情報

会社名
美術商社盛林株式会社
住所
東京都新宿区南町6
電話番号
03-6280-8808

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