六本木ヒルズに新たな懐石の舞台「御料理無窮」が開業

六本木ヒルズに誕生する「御料理無窮」

2025年9月4日、六本木ヒルズに新たな懐石料理の舞台「御料理無窮」がオープンします。店主の五十嵐庄大朗氏は、京都のミシュラン三つ星「未在」で鍛えた技術をもって、自らの名を冠したこの新店を立ち上げます。

「無窮」とは、完成がないこの道を探求する精神を表しており、和食の深い文化とその魅力を伝えたいという思いが込められています。この名は「限りなく終わりなきもの」という禅語に由来しており、店舗そのものが禅の精神を反映しています。

季節の恵みを一皿に

「御料理無窮」では、毎月の季節の移ろいを感じることができるコース料理が楽しめます。前菜、椀物、焼物など、各料理は季節ごとの特別な素材を用い、料理ひとつひとつに哲学が息づいています。

まず、彩り豊かな八寸には、新鮮な季節野菜や香ばしい焼き胡麻豆腐、風味豊かなしらあえなどが美しく盛り付けられ、味わう者にその季の物語を語りかけます。続いて、澄み切った出汁を使用した椀物が、貴重な食材の旨味を引き立て、ほのかな香りとともに口の中に広がります。

焼物では、幽庵焼きが登場し、じっくりと火入れされた魚の香ばしさと、季節に応じた香味が一層の深みを与えます。また、土鍋ご飯にもこだわりがあり、旬の食材と出汁を用いて炊き上げられる一品は、ほっくりとした米の甘さが引き立っています。

最も注目すべきは、和牛のすき焼き。甘辛い割下の香りが漂い、静寂の中、火が入っていく素材との対話が楽しめます。コースは、季節の果物を使った特製大福で締めくくられ、そのもっちりとした食感と上品な甘さが、一日の食の旅を優雅にまとめ上げます。

店内の設計と五十嵐氏の思い

店舗の内装は、東京都心でありながら、まるで古都に迷い込んだような非日常的空間を実現しています。大正・昭和初期の和洋折衷の建築スタイルを取り入れ、「侘び寂び」の美学を体現する場所となっています。料理用の器もただの器ではなく、美しさと手触りにこだわったもので、料理同様に大切な存在として扱われます。

店主の五十嵐氏は、福島県出身で、自然の中で育まれた影響から、食材に対する深い理解を持ち、「料理は人の手から始まる」という信念を温めてきました。修行先である「未在」にて料理の本質を学び、その後東京での経験を積んだ彼は、この店を通じて日本の懐石文化をさらに発展させていく意気込みを持っています。

まとめ

「御料理無窮」は、ただの食事の場ではありません。それは、心の喧騒から離れ、和の真髄を楽しめる特別な体験を提供する場所です。オープン日である2025年9月4日には、多くの人々がこの新たな懐石の舞台に期待を寄せて訪れることでしょう。日本の未来を彩るこの場所が、和食を愛するすべての人々にとっての新たな聖地となることを願っています。