医療的ケア児者ファミリーを支える新たな拠点、COCOON西田中EASTの登場
「COCOON西田中EAST」 とは、仙台市に位置する医療的ケア児者とその家族を支える新たな福祉施設です。社会福祉法人あいの実が運営し、重度心身障害を抱える子どもたちの短期入所や生活介護を提供しています。この施設は、2023年にグッドデザイン賞を受賞した実績を持ち、さらにAIJ建築年鑑『作品選集2025』への掲載と第45回東北建築賞特別賞を受賞するという、建築界における業績としても注目されています。
福祉と建築の新たなモデル
「COCOON西田中EAST」は、特にユニークな点が多くあります。設計監理を手がけたのは都市建築設計集団UAPP。彼らは、施設運営を担うあいの実と密接にコミュニケーションを取り、利用者やその家族、スタッフのニーズをしっかりと反映させた設計を行っています。この結果、施設は単なる医療的ケアを提供する空間にとどまらず、地域に開かれた憩いの場としての機能も果たしています。
建物は木造平屋を主体としており、撓やかな和やかさを持つ中庭型の構造が特徴的です。4つのにわを挟み込むように配置された入出口は、利用者同士や家族との交流を促進します。また、施設内には入院ではなく「滞在」をテーマにした設計思想が表れています。これは「生活を支える場」という概念が体現されており、医療や福祉の枠を超えた新しい形を示しています。
受賞歴とその評価
本施設が受賞した評価は、その建築的質やデザインによるものです。作品選集2025においては、「障がい児のための医療的ショートステイと生活介護を併設した複合施設として、機能分化と融合が実現されている」との評価を得ました。このように機能の分化と融合を図ることに成功した例は非常に珍しく、他の福祉施設における新たな課題解決の参考になることでしょう。
また、東北建築賞特別賞では、「従来の医療と福祉の狭間となったニーズに対応したプロジェクトであり、福祉施設に求められる清潔性や快適性が両立されている」と評価されています。このような取り組みは、今後の医療的ケア児を対象とした施設が目指すべきモデルとなるでしょう。
地域に根ざす未来
「COCOON西田中EAST」は、地域にとって重要なリソースを提供するだけでなく、福祉施設の可能性を広げる一例です。医療的ケアが必要な子どもたちやそのご家族が安心して生活できる環境が整い、地域全体の福祉レベルの向上にも寄与するでしょう。さらに、併設されている小さなカフェは、親御さんにとって貴重なコミュニティの場となることも期待されており、施設の運営形態に新たな息吹を与えています。
これらの要素が組み合わさり、「COCOON西田中EAST」は今後の医療・福祉の発展に向けた先駆けとなることでしょう。地域に根ざしたこの新しい施設が、より良い未来を築く一助となることを願っています。