WaveTrackrの革新性
株式会社プライアは、製造業における設備保全の新たな一手として、予知保全AI「WaveTrackr」を発表しました。近年、製造業では老朽化する設備や熟練技能者の高齢化という課題に直面しており、これらの問題を解決するための技術革新が求められています。WaveTrackrは、AIによるスマートな保全を実現し、現場のニーズに応えるべく開発されました。
背景と必要性
製造現場では、属人的なメンテナンスや診断が依然として行われており、AIを取り入れることに対する期待が高まっています。しかし、熟練技能者の持つ経験や知識をデジタルに落とし込むのは容易ではなく、調整が難しい課題も多くありました。そこでプライアは、経験豊富な職人の思考プロセスを模擬した新たなマルチモーダルモデルを構築しました。
このモデルでは、技能者が持つ20年以上の診断データを用いてAIをトレーニングし、その結果、高い精度での異常検知が可能となりました。しかし、従来のシステムは高性能のGPU搭載マシンを要求し、手軽に導入できないという問題もありました。
WaveTrackrの特徴と機能
新たに開発されたWaveTrackrは、軽量なアルゴリズムを使用しており、ノートPCでも運用可能です。加速度センサを用いて収集した振動データを基に、時間波形やFFTによる解析が行われ、異常度を数値化することができます。また、異常検知をリアルタイムで行うことができ、ユーザーは監視対象の設備状態を簡単に把握できます。
WaveTrackrは、収録データの特徴をトレンドグラフに表示し、異常要因を深堀するための4つのタブを持っています。例えば、回転部品の不均衡やミスアライメントといった問題があれば、リサージュ図形を通じてその状況を視覚的に確認できます。さらに、加速度や速度の波形に対する各種統計量も算出されるため、ユーザーは観察したい傾向を容易に確認できる環境が整っています。
多様なハードウェアとの互換性
WaveTrackrは、NIやThe Modal Shop社、Broadsens社などの計測ハードウェアに対応しており、今後も対応機種を増やしていく予定です。サポート外のハードウェアで取得したデータも、フォーマットを調整することでオフライン解析が可能です。この柔軟性は、広範な現場での活用を促進します。
無料評価版の提供
WaveTrackrは、全機能を30日間無料でお試しできる評価版を提供しています。インストーラーにはサンプルデータも同梱されているため、ハードウェアがなくても機能を体験することが可能です。さらに、プライアの公式ホームページにはチュートリアルも用意されており、使い方を学ぶことができます。
今後の展望
今後の開発では、WaveTrackrを使用して作成した最適なモデルを移植できるスマートセンサーの提供を計画しています。異常検知の精度向上も目指しており、AIシステムとの連携を進めながら、新しい技術の開発に努めます。ユーザーからの期待に応えつつ、改善を続けるWaveTrackrにご注目ください。
会社情報
株式会社プライアは、東京都三鷹市に本社を構え、製造業向けのデータ解析サービスを提供しています。センサ計測から解析アルゴリズムの開発、システムの実装、サポートまで、幅広いサービスを展開する企業です。詳細は公式サイトでご確認ください。
株式会社プライア公式サイト