ABEJAとKDDIが進める「AI橋田壽賀子」プロジェクト
株式会社ABEJAとKDDI株式会社は共同で進めている「AI橋田壽賀子」プロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトは、日本を代表する脚本家、橋田壽賀子氏の作品をAIを用いて現代に蘇らせるべく、さまざまなデジタルコンテンツの開発を目指しています。特に注目すべきは、2025年12月初旬からBS-TBSで配信が開始される予定のショートドラマ「AI橋田壽賀子 渡る世間は鬼ばかり 令和版」における、人とAIの協調による新たな表現の創出です。
プロジェクトの背景と目的
ABEJAは「ゆたかな世界を、実装する」をミッションに掲げ、AIを活用した数々のプロジェクトを推進しています。これまでにも、膨大なデータを集めたABEJA Platformを活用し、LLM(大規模言語モデル)の開発に早くから取り組んできました。このプラットフォームを基に、AIを用いた制作においての責任や倫理についても真剣に議論を重ね、特に著作権や人格権の問題に対処するための「Ethical Approach to AI」委員会を設立しました。
一方、KDDIもまた5G通信を背景に、「au」や「UQ mobile」、「povo」といったブランドを通じて、エンタメ体験を提供しています。「AI橋田壽賀子」プロジェクトは、単なるAI技術の活用ではなく、文化的な挑戦をテーマとして、人とAIが協力する新たな制作スタイルを模索しています。
プロジェクトの進行
第一弾となるプロジェクトは、橋田文化財団と連携して進められ、多数の橋田氏による脚本データをもとに、制作が進行しました。特に「渡る世間は鬼ばかり」のような作品の特徴を踏まえた登場人物のコミュニケーションやストーリー展開がデータ化されました。第二弾では、このデータを活用し、新たに生成された文章に対して人のフィードバックが加わることで、より橋田氏の作品に寄り添った脚本が制作される予定です。
「AI橋田壽賀子 渡る世間は鬼ばかり 令和版」の内容
このショートドラマは、COVID-19の影響を乗り越え、幸楽というお店を舞台にした物語です。登場人物たちは忙しい日常を送っており、忘年会シーズンに向けての準備に追われています。その中で、友情や家族の絆、そして日常生活の中で生じる様々な衝突やすれ違いを描き出します。物語は、クリスマスを迎えるまでの時間軸で展開され、各家族が再び笑い合えるのかを問いかけます。
今後の展望
このプロジェクトを通じて、ABEJAおよびKDDIはAIを活用した新しいエンタメ体験の提供を進めていきます。今後も「AI橋田壽賀子」を活用した様々なショートドラマを制作し、スマートフォンでの視聴に最適化されたコンテンツを提供することで、デジタルエンタメの未来を切り開くことを目指しています。最終的には、AIがクリエイターの発想を広げる役割を果たし、新たな価値を生み出すことが期待されます。
このプロジェクトは、ただAIを利用するだけではなく、文化的な観点からも重要な意味を持つ試みです。今後の展開に目が離せません。