2025年に開催される日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会場で、シンボル的存在になる「大屋根リング」がついに完成しました。2024年8月21日には、スカイウォークのスロープ部の設置が終わり、約2キロメートルにわたりひとつにつながる形となりました。この「大屋根リング」は、建築家の藤本壮介氏の構想に基づいてデザインされ、会場デザインの理念「多様でありながら、ひとつ」を具現化した建築物です。工事は2023年6月30日にスタートし、万博開幕を前にさまざまな工事が続いています。
「大屋根リング」は、完成時には世界最大級の木造建築物となり、そのデザインには日本の伝統的な建築技術が取り入れられています。具体的には神社仏閣などで使われる貫接合の技術を現代的な工法で融合させることで、独特の形状と機能を持つ空間が実現されました。
リングの内部は、来場者が快適に移動できる主動線としての役割を果たすだけでなく、雨風や日差しから守られた滞留空間としても利用される設計になっています。また、大屋根リングの屋上からは万博会場全体を見渡すことができ、周囲の美しい風景、例えば瀬戸内海の自然や大阪の景観を一望することができます。
具体的なサイズとしては、建築面積は約60,000㎡、内径が約615m、外径が約675m、幅が30m、高さは12mです。スカイウォークの高さは外側が20mで、来場者が散策を楽しみながら観覧するには最適な設計です。
使用されている木材の一部には、国産のスギやヒノキ、さらに外国産のオウシュウアカマツが使用されています。このような天然素材がもたらす温かみや、木の香りは、訪れる人々に心地よい空間を提供し、日本らしさを感じさせることでしょう。
大屋根リングの完成により、2025年の万博に訪れる国内外の来場者にとって、ただの見物ではなく、体験を通じて日本の伝統の良さを感じる場となります。万博を通じて様々な国との交流を促進し、新たな発見や感動を提供することを期待しています。公益社団法人2025年日本国際博覧会協会の会長、十倉雅和氏は、「この大屋根リングが多くの方々に楽しんでいただけることを信じています」とコメントしています。
この大屋根リングの完成は、万博に向けた準備の大きな一歩であり、全体のプロジェクトの進捗を象徴する出来事です。今後の工事においても、エレベーターやエスカレーターの設置、屋上の緑化などが予定されており、万博の開催に向けて、更なる整備が進みます。