KADOKAWAグループ、ランサムウェア攻撃による大規模システム障害発生 - 出版・Webサービスなど事業活動に影響
株式会社KADOKAWAは、6月8日に発生したランサムウェア攻撃による大規模なシステム障害により、読者やユーザー、作家・クリエイター、取引先、株主・投資家など、関係するすべての皆様に多大なご迷惑をおかけしていることを深くお詫びするとともに、現状と今後の対応について発表しました。
今回の攻撃は、「ニコニコ」を中心としたサービス群を標的に、KADOKAWAグループデータセンター内のサーバーが攻撃を受けたもので、現在、全社を挙げて解決策の検討と対応を迅速に進めています。
システムと事業活動の回復状況
KADOKAWAグループは、安全なネットワークおよびサーバー環境の構築に取り組んでおり、特に経理機能と出版事業の製造・物流機能の正常化を最優先事項として取り組んでいます。経理機能については、7月初旬に復旧する見込みです。
出版製造については、重版は優先順位をつけて製造を行っていますが、新刊は平常時の水準を維持しています。出版物流については、既刊の出荷部数は平常時の3分の1程度となっていますが、新刊は平常時と同等の水準を維持しています。
影響を受けている主な事業の現状
出版事業
製造: 国内紙書籍においては、重版の製造に関しては優先順位をつけて対応しておりますが、新刊の製造は平常時の水準を維持しております。電子書籍については、システム障害発生直後に一部配信が遅れるケースがございましたが、現在は制作への影響は発生しておりません。
物流: 当社の書籍出荷の割合は、新刊・既刊がそれぞれ約5割(総出荷金額ベース)です。新刊については、平常時と同等の水準の出荷部数を維持しております。一方、自社システムの影響度が高い既刊においては、販売会社の協力を得ながら可能な限り書店からの注文に応じて出荷を進めておりますが、現時点では平常時の3分の1程度の出荷部数となっております。
Webサービス事業
「ニコニコ」ファミリーのサービス全般、およびニコニコアカウントによる外部サービスへのログインは引き続き停止中です。
一方で、「ニコニコ動画(Re:仮)」に続いて、「ニコニコ生放送(Re:仮)」や「ニコニ・コモンズ(Re:仮)」などのユーザー向け臨時サービスの提供を開始したことに加え、「ニコニコ漫画 スマートフォン版Webサイト」、「NicoFT」など既存サービスについても再開いたしました。また、既存サービスである「ニコニコチャンネルプラス」については、6月28日に再開を予定しております。
MD事業
商品の卸売に関しては、現時点で発生している影響は限定的であり、出荷機能についても概ね平常通りに回復しております。
当社運営のオンラインショップについては、一部でアカウント認証機能に不具合が発生しており、ログインできない障害が発生しております。なお、これらショップの一部では代替の認証機能導入の検討・準備を進めております。アクセスができない障害が発生しているオンラインショップについては、暫定的に当社が運営する別のショップ内に臨時ページを開設するなどの対応をしております。
情報漏洩の調査状況
情報漏洩の可能性に関して外部専門機関等の支援を受けながら調査を実施しており、7月中には、調査結果に基づくより正確な情報が得られる見通しです。なお、「ニコニコ」サービスを含む当社グループの顧客のクレジットカード情報につきましては、社内でデータを保有していないため、当社からの情報漏洩は起こらない仕組みとなっております。
業績影響
本事案による当社の当期業績への影響は現時点では不明です。影響を精査のうえ、開示すべき事項が発生した場合には、速やかに公表いたします。
KADOKAWAグループは、一日も早い復旧を目指し、全力を尽くしてシステムおよび事業活動の正常化に向けて取り組むとしています。