女性の事業承継を考えるイベントが示す新たな課題と展望
2024年11月に開催された「女性のための事業承継ステーション」は、エヌエヌ生命保険株式会社の協賛を受けて、女性事業承継者や支援団体、自治体が集まり、女性の事業承継の現状と課題について考える機会となりました。特に「承継を考える日」である2月2日を前に、女性の事業承継は注目されています。このイベントでは、参加者たちが抱く考えや意見を通じて、今後の道すじが探られました。
女性事業承継者の現状と課題
まず、女性事業承継者は、自身の経験から以下のような現状を述べています。相談相手やロールモデルが不足しており、事業承継に対する周囲の理解が得られず、男性社会という厳しい環境での奮闘が続いているのです。
ケーススタディ:成功した女性起業家の事例
- - 太陽運輸株式会社の太田豊子さん では、彼女が10年間父の仕事を手伝っていたにもかかわらず、周囲から「男性社会で何ができるのか」と冷ややかな目で見られることが多かったといいます。彼女は運送業界で必要な知識を得るため、様々なセミナーに参加し続け、成果を上げることができました。
- - 有限会社古田商会の古田千賀子さんは、夫の急死によって事業を引き継ぎました。彼女は、経理を長年担当していたため経営の知識はありましたが、突如としての変化に対し、不安を感じながらも自ら全てを決断し、経営を続けています。
- - 株式会社山崎製作所の山崎かおりさんも、父の会社の経理を手伝って育った背景があるものの、父からの期待が強く、廃業の危機に直面したときに承継を選択しました。彼女は自身の強さを見つけ、事業承継へと挑戦しました。
これらの体験は、女性事業承継者が多くの壁を乗り越えていることを示しています。しかし、女性が経営者として立ち上がることは、時に偏見にさらされる現実も残ります。
社会全体の偏見の払拭
一方で支援団体や自治体は、女性が事業承継に挑戦する環境を整えるための重要な役割を担っています。たとえば、
高知県事業承継・引継ぎ支援センターの原浩一郎さんは、娘を承継対象として考えない無意識の思い込みを払拭することが成功の鍵であると強調しました。
また、全ての相談窓口が男性であり、女性相談員の必要性を訴える意見もありました。支援団体が積極的に女性スタッフを採用し、男女均等に事業承継を考える視点を持つことが求められています。
課題解決のヒント
ここでの課題解決策として、女性事業承継者、支援団体、自治体それぞれが協力し、以下の点に注意を払うことが挙げられています。
- - 経営者や支援団体による無意識の偏見の払拭
- - 女性事業承継者同士が情報交換できる場の提供
- - 女性承継者のロールモデルを増やし、彼女たちの経験を共有
- - 支援団体への女性スタッフの配置
終わりに
このように、事業承継というテーマは男性社会の枠をはみ出す新しい挑戦ともいえます。「継ぐ」を語ることは、大きな意味を持つのです。エヌエヌ生命は、今後も中小企業の持続可能性の支援に努めていく所存です。