ソニーと一橋大がデザイン評価手法を共同開発する意義
ソニーと一橋大学の共同研究
現在、日本では大企業を中心にデザイナーを社内で雇う「インハウスデザイナー制度」が広がりを見せています。しかし、このような社内デザイン組織は、他の部門と異なる職能を持つため、その活動成果を客観的に評価することが難しいという現実があります。これが、デザイナーの雇用や処遇、さらにデザイン機能が企業の経営にどのように貢献しているのかを測定する上での課題となり、デザイン経営の進行を妨げる要因ともなっています。
この状況を打破するために、ソニー株式会社のクリエイティブセンターは、一橋大学の「データ・デザイン研究センター」、パナソニック株式会社のデザイン本部、富士通株式会社のデザインセンターと共同で、デザイン組織の活動を共通の視点から量的に評価する手法の策定に取り組むことを発表しました。
取り組みの詳細
一橋大学における「データ・デザイン研究センター」は、ソニーが社内で運用してきたデザイン組織の評価手法を参考にし、パナソニックと富士通でも社内調査を行います。これにより、各社が得たデータを基に、デザイン経営やデザイン評価に関する専門家の意見を取り入れ、手法の精緻化を図ろうとしています。
さらに、この3社は協力して評価手法の有効性を実証し、共通の指標を確立することを目指します。最終的には、社内デザイン組織を持つ企業が新たな量的経営指標として利用できる手法に進化させ、デザインを事業の基盤として活用する道を開くことが目標です。
一橋大学「データ・デザイン研究センター」とは
一橋大学が設立したこの研究センターは、デザイン経営やデータサイエンスに関連する教育プログラムの開発と研究を行っています。デザインを活用した経営における価値の探索や、データを用いた革新的な解決策の模索に取り組んでいます。
ソニーのクリエイティブセンターの役割
ソニーは、創業当初からデザインの重要性を認識し、1961年にデザイン室(現在のクリエイティブセンター)を設立しました。「人のやらないことをやる」という企業理念のもと、エレクトロニクスからエンタテインメント、さらには金融やモビリティまで、多岐にわたる事業領域でデザインを推進してきました。2014年からは、外部顧客にもデザイン業務を提供し、2020年にはソニーデザインコンサルティングを設立しました。新会社では、デザインの視点からさまざまなソリューションを提供しながら、社会的課題の解決や文化的価値の創造に寄与しています。
期待される成果
この共同研究によって、社内デザイン組織の評価手法が確立されることで、デザインの経営への寄与が客観的に示されるようになることが期待されます。それにより、企業はデザインの重要性を再認識し、その価値を経営戦略に組み込むことが可能になるでしょう。日本全体のデザイン経営の発展にも寄与する意義深い取り組みと言えます。
会社情報
- 会社名
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ソニーグループ株式会社
- 住所
- 東京都港区港南 1-7-1
- 電話番号
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