高齢者の歯科医療問題、要介護者が直面する課題とは

埼玉県越谷市に位置する医療法人社団徳昌会パラシオン歯科医院では、要介護者に特化した歯科医療の関連調査を行い、その結果が注目を集めています。この調査は介護従事者や要介護者の家族を対象にし、今ひとつ見えにくい高齢者の歯科医療の現状を明らかにするものです。

調査の概要と結果

調査は2025年4月に実施され、合計1,008名からの回答を得ました。最初の質問では、「要介護者は必要な歯科医療を十分に受けていると感じていますか？」という問いかけに対して、19.5％が『十分に受けられている』と回答。一方、約4割の人々が「受けられていない」との具体的な不安を訴えています。

その結果、要介護者が歯科医療を受ける主要な方法は、依然として『歯科医院への通院（45.2％）』が最も多く、次いで『訪問歯科診療（40.3％）』ということが分かりました。従来の通院スタイルが主流ですが、訪問診療の重要性が高まっている点が特徴的です。

満足度とその理由

調査結果からは、要介護者に返答した約9割が「現在の歯科医療に満足」と回答しているものの、実際の課題は依然として浮き上がっています。例えば、『定期的なフォローアップを行ってくれる（43.7％）』や『優しい接し方（42.5％）』などが高評価を得ていますが、一方で『治療質に対する不安（31.1％）』も重要な悩みの一つです。具体的には、本人の医療情報の把握が困難であったり、形式的な対応が多いといった実態も見えています。

障壁となる要因

さらに、調査参加者が要介護者が歯科医療を受けられない要因として最も多く挙げたのが『通院の困難さ（45.2％）』でした。この背景には家族の送迎が難しいという問題や、本人の医療情報を把握する難しさが存在しています。

また、これらの問題を解決するための制度的支援が不足していることや地域医療との連携が弱いことも判明しました。医療機関と介護現場には、さらなる協力体制が必要とされる状況です。

口腔ケアへの意識

調査参加者の約9割が口腔ケアの重要性を認識しており、その理由には「病気の予防」と「嚥下の助け」に関わるリスクの低下が含まれています。歯と体の健康が直結している意識が広がる一方で、医科と歯科の連携の確立が急務であることが強調されました。利用者自身が医療者に自身の状態を正確に伝えることも一つの課題として挙げられています。

連携強化の必要性

医科・歯科・介護が要介護者に対してより良い連携を実現するためには、定期的な情報共有を行う仕組みや、訪問歯科コーディネーターの配置が鍵となります。そして、地域全体での支援ネットワークを構築することで、改善に向かうことが予想されます。

今回の調査からは、要介護者が安心して質の高い歯科医療を受けられる体制の構築が急務であることが明らかになりました。それが、医科・歯科・介護の連携強化や制度的な支援の拡充につながることを期待しています。埼玉県越谷市のパラシオン歯科医院は、こうした環境の中で高齢者に向けた質の高い医療を目指して今後も取り組んでいくでしょう。