富士フイルムがDomoによる営業DXを推進
富士フイルムビジネスイノベーションジャパン株式会社は、約8,000人の営業社員が、ドーモ株式会社が提供するAI搭載のデータ活用プラットフォーム「Domo」を活用したモバイルアプリを導入し、営業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進している。この新しいシステムにより、顧客満足度が一段と向上し、営業活動の効率化が図られていることがニュースとして注目を集めている。
営業活動の現状と背景
富士フイルムビジネスイノベーションジャパンは、複合機やプリンターの販売、ITを活かしたDX支援、関連ソリューションの提供を行っている。顧客一社に対し、アカウント営業やカスタマーエンジニア、システムエンジニアら複数名での手厚いサポートを実施。営業担当者全員が顧客のニーズを迅速に共有することで、より効果的なサポートを提供し、顧客満足度に大きな影響を与える。
しかし、従来の営業活動には、外出先での迅速な情報共有が難しく、それがボトルネックとなっていることもあった。そこで、営業担当者がどこでも手軽に情報を把握できるようにするための「モバイルBIツール」の必要性が認識された。そのために新たなツール選定が行われた。
Domoによるモバイルアプリの開発
新しい営業モバイルBIアプリの基盤となるツールの選定にあたり、Domoを含む3社のソフトウェアで「フィジビリティスタディ」を実施。顧客データを簡便に操作できることに加え、必要な機能も設計された。Domoが最終的に採用されたのは、操作性と情報提供の即時性において優れていたためだ。
このアプリは、現在、8,000人の営業社員が利用し、お客様情報を外出先からでも容易に確認できるようになった。「営業計画部の伊橋氏は、選定において、要件定義を社内で事前に行い、必要な機能を明確化した結果、Domoが選ばれた理由を語る。特に開発後も営業の要望に迅速に応えるアジャイル性の高さが評価された。」
BIシステム推進のための体制整備
Domo導入によるシステム構築では、営業担当者が煩雑なデータ管理の手間をかけることなく、リアルタイムで必要な情報を得られるような仕組みが工夫されている。特に、全国の営業チームから選ばれた120名のBI推進者が、現場でのフィードバックを収集し、アプリの改善に役立っている。
さらに、営業を支援する社内ポータルサイトが設置され、操作マニュアルやトレーニング情報、ユーザー体験の共有など、営業担当者がモバイルアプリをスムーズに活用するための情報が集約されている。これにより、営業現場でのデータ活用がより促進されている。
導入効果:営業改革による省力化と増力化
新たに導入されたモバイルアプリにより、営業活動は大きな改革を遂げた。
省力化
モバイルアプリの導入後、営業担当者は活動情報の迅速な共有が可能となり、集計や分析にかけられる工数が大幅に削減された。その結果、初期の3か月で80人月の作業工数削減を達成し、実質的には80名分の営業力を確保できたことにもつながっている。
増力化
また、モバイルアプリにより、顧客からの急な連絡に対しても迅速に対応可能となり、商談履歴や機器の使用状況などの情報を事前に把握することで、より適切なサービスを提供することができるようになった。この新しい営業システムの導入により、顧客満足度の向上とともに、営業担当者自身もより自信を持って顧客に提案できるようになっている。営業担当者からは、訪問前の準備時間が30分以上短縮でき、「安心してお客様と向き合える」と高評価の声が寄せられている。
まとめ
伊橋氏は「今後はさらに200人月分の工数削減を目指す」と語り、データ活用の推進により新たな営業力の創出と、今まで接触できなかった顧客へのサービス提供の拡充が期待されている。Domoを活用した営業DXの推進は、今後のビジネス展開にとって重要なマイルストーンとなるだろう。今回の成功事例は、多くの企業にとっても参考になるに違いない。