投げ縄ペプチドと創薬
2025-04-24 09:18:25

投げ縄ペプチドを用いたETB受容体の新たな創薬戦略の可能性について

最近の研究で、投げ縄様の構造を持つラッソペプチド「RES-701」が、細胞表面に存在する重要な受容体「ETB受容体」に結合する仕組みが明らかになりました。この研究は、慶應義塾大学医学部の坂口光洋記念講座の志甫谷渉准教授と東京大学の濡木理教授が中心となり、Lassogen Incとの共同研究によって進められました。

ETB受容体はGタンパク質共役受容体(GPCR)の一種であり、血管の機能調整や免疫反応に深く関与しています。特に、がんの血管新生にも関連しており、治療ターゲットとして注目されています。しかし、従来の薬剤開発では、十分な選択性を持つ低分子化合物を得ることが難しかったのが現状です。

ラッソペプチド「RES-701」は、ETB受容体に対して非常に高い選択性を持つ逆作動薬として注目されています。しかし、その作用メカニズムに関する理解は十分ではなく、創薬への応用が課題とされていました。

今回の研究で、研究者たちはカルシニューリン融合法を用いて、RES-701がETB受容体に結合する際の具体的な構造をクライオ電子顕微鏡によって解明しました。研究チームは、RES-701がETB受容体内部の特定の疎水性ポケットにしっかりと入ることを確認。その結果、Gタンパク質との相互作用に必要な構造変化が阻害されることが分かりました。

この発見は、ETB受容体をターゲットとする医薬品の開発に向けた画期的な進展と捉えられています。特に免疫療法抵抗性を示すがんに対する新たな治療法の可能性を示唆しており、今後の研究に期待が寄せられています。

研究チームは、さらなる創薬研究に向けて歩みを進めており、RCペプチドを用いた新たな治療薬の実現を目指しています。このように、最新の科学技術による解析は、将来的に難治性がんやその他の難病治療に革新をもたらす可能性を秘めています。

一方で、この研究成果は今後の医学や薬学における重要な基盤となることでしょう。特に個別化医療が進む中で、特定の受容体をターゲットにした新薬の開発は、患者一人ひとりに対するより効果的な治療法を提供する鍵となります。

この研究成果に関するさらなる詳細は、慶應義塾大学のプレスリリースにて確認可能です。医療の未来を切り開くこの研究から、目が離せません。


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