横浜での自動運転バス実証実験
2024年9月30日から10月8日まで、横浜市のよこはま動物園ズーラシア周辺で自動運転バスの実証実験が行われる。NTTコミュニケーションズを中心とする9社のコンソーシアムがこの実験を実施し、自動運転技術の進展を目指す。
1. 実証実験の背景と目的
近年、バス業界では運転手不足が問題視されており、その解決策として自動運転の導入が期待されている。交通量が多く、通信環境も不安定な都市部での運行が課題であるため、すべての条件をクリアしながら、安全かつ効率的な運行が求められている。
今回の実証実験は、混雑するエリアでの自動運転の実現可能性を探ることが目的。特に年間約100万人が訪れるズーラシア周辺で、先端通信技術と路車協調システムを活用し、自動運転バスの運行がどうなるか検証する重要な試みである。
2. 実証内容の詳細
2.1 先端通信技術と遠隔監視システムの検証
実証実験では、特に通信品質が不安定なエリアでの運行を支えるため、IOWNの一部であるCradioを採用した。これにより、複数のネットワークの無線通信品質の劣化を予測し、事前に切り替えるシステムを検証。また、映像伝送に関しても高品質なAV-QoS技術を用いて、リアルタイムでのモニタリングを行う。
2.2 路車協調システムの実装
自動運転車両が安全に走行するためには、周囲の車両や歩行者を把握する必要がある。本実証では、スマート道路灯によって収集された情報を活用し、自動運転バスの運行管理が行われる。AIカメラを搭載したスマート道路灯が、走行区間にいる一般車両や歩行者を検知し、必要な情報を遠隔監視室に送信する仕組みが期待されている。
実験は、バスの運行時間が10時半から16時半の間で行われ、特に混雑する時間帯に重点を置いて行われる。また、乗車は事前予約制で定員は10名。予約に関心のある方は、専用サイトから注意事項を確認し、事前に申し込む必要がある。
3. 今後の展開
本実証実験では多くの検証が進められ、その結果を分析することにより、2027年を目標にした自動運転バスの商用運行の実現を目指す。相鉄バスは、これまでの実証実験を生かし、安全な自動運転社会の構築に向けた取り組みを進める。また、地域における自動運転への理解を深めることも重要な課題とされている。
この実証実験が成功すれば、横浜だけでなく全国の自治体でも自動運転バスの運行が進むことが期待され、安定した公共交通サービスの維持と持続可能な街づくりに寄与することになるだろう。