サントリーウエルネスが技術賞を受賞
2023年5月23日、名古屋大学において開催された第79回日本栄養・食糧学会大会にて、サントリーウエルネス株式会社が「2025年栄養・食糧学会技術賞」を受賞しました。この名誉ある賞は、栄養科学や食糧科学の進展に寄与する技術開発を評価するものであり、同社による受賞は初めてのことです。
受賞テーマ
受賞した作品のテーマは「脳の健康実現を目指した長鎖高度不飽和脂肪酸の研究とその応用」です。これに関連して、受賞者はサントリーウエルネス株式会社生命科学研究所の末安俊明氏、森田賢氏、得田久敬氏、金田喜久氏、堀川千賀氏の5名です。
研究の重要性
日本では高齢化が急速に進んでおり、2040年には約3.3人に1人が認知機能に問題を抱えると予測されています。脳の健康を維持することは、多くの人々にとって重要な社会的課題です。サントリーグループは40年以上にわたって、生活習慣と脳の健康維持に関する研究に取り組んできました。
特に、脳に必要不可欠な長鎖高度不飽和脂肪酸であるアラキドン酸(ARA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)などについての研究を行い、大学や国立研究機関と協力しています。
研究の進展
長鎖高度不飽和脂肪酸摂取の重要性
研究により、長鎖高度不飽和脂肪酸を生合成するための酵素に関連する遺伝子の多型は、日本人の約6割が保有しており、加齢とともにARAを生合成する能力が低下することが確かめられました。このことから、特定の栄養素の摂取の必要性が浮き彫りになります。
健康への影響
また日常的にDHA、EPA、ARAを豊富に含む食事を摂取することで、認知機能の低下や抑うつのリスクが軽減される可能性があることも明らかになりました。さらに、iPS細胞を用いた研究からは、DHAやARAが脳の情報処理において重要な神経活動の同期を促進することも判明しました。
運動と栄養の関係
脳の健康には、DHA、EPA、ARAの摂取だけでなく、運動や知的活動との組み合わせが有効であることも示唆されています。スポーツや芸術鑑賞などの趣味活動が認知機能の維持に役立つ可能性があるという結果も着目されました。
日本栄養・食糧学会とは
日本栄養・食糧学会は、栄養科学および食糧科学に関する研究を行い、知識の交換や情報提供を通じてその進展を目指して設立されました。会員数は3,500名を超え、国内における栄養・食糧科学の発展に貢献しています。
今回の受賞は、サントリーウエルネスが今後も脳の健康を支える商品やサービスの開発に真摯に取り組んでいくことを示す一歩と言えるでしょう。私たちは、彼らの研究成果がさらなる進展を遂げ、より多くの人々の健康と生活の質を高めることを期待しています。