三井住友銀行と大和証券の新たな試み
日本の金融セクターで注目のプロジェクトが始まりました。株式会社三井住友銀行、大和証券、SBI証券などが連携し、セキュリティトークンのセカンダリーマーケットにおける取引の効率化と安全性向上を目指した実証プロジェクト「Project Trinity」がスタートしました。これは、ステーブルコインを活用したDvP(Delivery Versus Payment)決済の導入を目指したものです。
セキュリティトークン市場の背景
近年、セキュリティトークンの市場は顕著に拡大しています。2025年8月末時点では、累計発行金額が1,938億円に達すると見込まれており、特に不動産セキュリティトークンの発行が期待されています。また、大阪デジタルエクスチェンジが2023年12月に開設したセキュリティトークンのセカンダリーマーケット「START」も、さらなる市場の成長を促進することでしょう。
このような背景から、セキュリティトークンの取引には新しい決済手法が求められています。現在の取引方式では、証券会社間での資金決済がスムーズに行われておらず、その結果、カウンターパーティ信用リスクが懸念されています。
ステーブルコインの役割
そこで注目されているのが、ステーブルコインです。これにより、証券決済プロセスを効率化し、より安全にする手段として期待されています。この実証プロジェクトでは、ブロックチェーン上のスマートコントラクトを利用し、DvP決済を実現することを目指しています。これにより、取引の効率化や信用リスクの軽減が図られるのです。
将来的な展望
今後の展望としては、屋外の個別の売買取引に対して、約定後の即時グロス決済を実現することが重要です。これが実現されれば、取引相手の信用リスクを取り除き、24時間365日、時間を問わず取引が可能になることで、セキュリティトークンの取引市場は一変します。さらに、T+2のDvP決済を目指すことにより、実務を通じて必要なオペレーションや法令対応を整えることが期待されます。
各参加者の役割
このプロジェクトには多くの企業が参画しています。業務要件の定義、技術検証、業務運用の検証、これらの3つのフェーズで推進される予定です。各参加者が協力し、定期的に得られた結果を市場関係者と共有することで、実際の業務への適用も視野に入れています。
このプロジェクトは、セキュリティトークン市場の未来を切り開く重要なステップであり、その成否が今後の取引スタイルに大きな影響を与えることになるでしょう。関係者の協力により、日本の金融システムが一層進化することが期待されています。