白藤酒造の復興を支える業務用洗濯機の進化と挑戦

能登の銘酒を守るための希望の光

日本海に沈む夕日が美しい能登半島の奥能登・輪島に位置する白藤酒造。創業は江戸時代末期にさかのぼり、ANA国際線ファーストクラスにも採用されるほどの高品質な酒を造り続けている。この酒造の歴史は長く、地域に深く根付いた文化の一部でもある。

能登半島地震の影響と復興の道

しかし、2024年1月1日に発生した能登半島地震は、白藤酒造にとって大きな試練となった。店舗や事務所兼自宅はもちろん、土蔵や冷蔵庫、倉庫までが倒壊するという厳しい状況に見舞われた。それでも、白藤酒造の九代目蔵元、白藤喜一氏は決して諦めることなく、伝統を守り続けようと復興への道を歩み始めた。

酒造りの効率化が求められる

酒造りには多くの布が使われ、その洗濯作業は日々の重要な業務の一部である。特に酒袋の洗濯は手間がかかる。白藤酒造では「佐瀬式」と呼ばれる高級酒をつくるための方法を用い、200〜250枚の酒袋を用いてもろみを圧搾する。これまでのオープンワッシャーでは効率が悪く、洗浄に一日がかりになることもあった。地震で人手も減り、業務の効率化は差し迫った課題となっていた。

新たな業務用洗濯機の導入

そんな状況の中で、山本製作所の業務用洗濯機に注目が集まった。以前から酒蔵での使用事例を見ていた白藤氏は、当社のOEM機であることを知り、導入を決めた。今の洗濯機は一度に100枚の酒袋を洗うことができ、作業時間は従来の1日からわずか2〜3時間に短縮された。プログラム機能を駆使し、効率的で安心な作業環境が整った。

清潔な環境管理

酒造りの現場では、衛生管理が特に重要で、「仕事の8割は掃除や道具の洗浄」と言われるほどだ。新たな洗濯機の導入により、脱水時間も短縮され、感染リスクを減少させる手法が確立された。特に大型の麹用布もすぐに乾くようになり、地元の使用状況に応じた柔軟な対応ができるようになったのだ。

酒造りを支えるこだわり

白藤社長は、酒造りにおいて「当たり前のことを当たり前にすること。仕事を丁寧にすることが、最終的な品質に結びつく」と話す。その洗濯方法にもこだわりがあり、酒袋は水道水で脱水した後、清水に浸すことで香りを取り除く。また、布の種類に応じて洗浄プログラムを使い分けることで、酒造りの品質向上に寄与している。

復興への希望

白藤酒造は震災からの早期復興を目指し、例年よりも早く酒造りを再開することを決断した。白藤氏は「思ったよりも早く納品してもらえたので助かった」と話し、復旧への支援に感謝の意を示している。過去の震災を経験している彼にとって、再び立ち上がることは自身を支える強い気持ちの源である。

街並みには震災の爪痕が残るものの、白藤氏はその姿を伝え、地域が復興に向けて頑張っている姿を広めてくれることを望んでいる。