旬外れのいちごが糀と出会った瞬間
近年、いちご農家の現場では季節の終わりに収穫される酸味が強い“旬外れのいちご”が、市場に流通せず廃棄されることがしばしばあります。このような課題を解決するために、IXホールディングス株式会社が開発したのが『いちご糀甘酒』です。このアップサイクル商品は、地域の生産者や飲食店との連携を通じて生まれました。これを実現する「おかげさまダイニングプロジェクト」の一環として、持続可能な食文化の確立を目指しています。
おかげさまダイニングプロジェクトの目的
このプロジェクトは、伊勢志摩地域の豊かな食文化や自然環境の課題に向き合うことを目的としています。「豊かな食を未来に残したい」「森を守りたい」という理念のもと、地域の生産者や事業者、料理人が協力して新たな価値を生み出すことを目指しています。地域の農家や生産者が直面する問題に寄り添い、規格外品や廃棄予定の食材を活用したメニューや商品を開発する取り組みを推進しています。
いちご糀甘酒の産まれた背景
『いちご糀甘酒』は、伊勢苺園のいちごと南伊勢町の庄下糀屋が手を組んで実現した商品です。いちご農家が抱える“旬外れ品の有効活用”という問題と、糀屋の発酵文化への興味を融合させています。いちごをペースト化し、無添加の糀とともに発酵させるプロセスを経て、この新しいドリンクが誕生しました。砂糖や添加物を使用せず、いちごの持つ自然な甘さと酸味が調和した優しい味わいが特徴です。
2025年11月30日のテスト販売
この新商品は、2025年11月30日(日)に開催される「おかげさまマルシェ」で初めてのテスト販売を行います。このイベントは、地域の生産者、シェフ、飲食店が協力し、食材の魅力を最大限に引き出した料理や商品を提供する場となります。
参加者は、いちごと糀甘酒をベースにした2種類の飲み比べを楽しむことができます。一つは香りが際立ついちごの味わい、もう一つは糀甘酒の自然な甘さにフォーカスしたタイプです。来場者にはアンケートへの協力もお願いし、今後の商品開発に活かす予定です。
地域の生産者たち
伊勢苺園
伊勢苺園のオーナー、倉野佳典氏は、かおりの」「よつぼし」など、様々ないちごを栽培し、直売所やいちご狩りを通じて地域貢献に努めています。彼のいちごは、見た目や味にこだわりが見られ、消費者にも愛されています。
庄下糀屋
一方で、庄下糀屋の五代目庄下真史氏は、昔からの手法を用いて質の高い糀を製造しています。自ら栽培したお米を使用し、丁寧に作られた糀は要となり、いちご糀甘酒の美味しさを引き立てています。
おかげさまマルシェの概要
「おかげさまマルシェ」は、三重県伊勢市で行われる地域の食材を活かしたイベントです。地産地消のメニューや地域飲食店の出店、生産者による食材の販売が行われ、訪れる人々に地域の魅力を伝えます。また、親子連れでも楽しめるワークショップも予定されており、環境志向の食の提案が広がります。
このイベントにより、おかげさまダイニングプロジェクトは、地域の課題に向き合いながら、持続可能な食文化の普及に寄与することを目指しています。一杯の『いちご糀甘酒』が、地域の未来を形作るきっかけとなることを願っています。