ABBは、NVIDIAとの協力により、次世代AIデータセンター開発の加速を発表しました。この取り組みは、AIテクノロジーの進化による電力需要の高まりに応えることを目的としています。特に、ギガワットスケールのデータセンターに向けた新しい電力ソリューションの開発が中心となっているのです。
このデータセンターの進化には、革新的な配電技術やアーキテクチャが欠かせません。現在、AI関連のワークロードが急増しているため、これに対応するための先進的な技術が求められています。ABBは、既存の配電システムに新たな技術を採り入れることで、持続可能で効率的な電力供給を実現しようとしています。
具体的には、NVIDIAが提案している800 VDCアーキテクチャを支援する形で、新しい高度な直流 (DC) 配電システムを開発します。このアーキテクチャは、特に1メガワットのサーバーラック用に設計されており、高圧無停電電源装置と組み合わせたシステムが導入されます。これにより、データセンター内でのエネルギー効率が大幅に改善されるでしょう。
ABBのエレクトリフィケーション部門のプレジデント、ジャンピエロ・フリジオ氏は、このプロジェクトの重要性を強調し、「私たちは、次世代のデータセンターを実現するための新しい配電技術の開発をリードしています」と述べています。これは単に技術開発に留まらず、業界全体のニーズを満たすための共同作業でもあるといえます。
実際、2024年には世界におけるデータセンターの電力需要が80GWに達すると予想されており、2030年までには220GWに増加するとされています。この急激な成長のほとんどはAIワークロードによるものとされています。今後のデータセンターは、単純な電力供給としての役割を超えて、効率的な運用を図るための高度なソリューションが求められるのです。
NVIDIAのAIインフラ部門のシニアディレクターであるディオン・ハリス氏も、「AIの需要が高まる中で、データセンターは新たな配電アプローチを模索しています」と語っています。ABBとNVIDIAの協業によって、高密度AIインフラの実現が期待されています。
ABBの技術は、インテリジェントな配電システムやバックアップ電源ソリューション、デジタル監視など、多岐にわたる分野での最先端技術を含んでいます。これらはすべて、AIサーバーの運用を支え、エネルギー使用を最適化するために欠かせない要素です。
また、ABBの最新のイノベーションの中で特筆すべきは、世界初の半導体UPSである「HiPerGuard」です。このソリューションにより、AIデータセンターはより小型でありながら高い電力密度とエネルギー効率を実現可能です。
このように、ABBはエレクトリフィケーションおよびオートメーションの領域で大きなリーダーシップを発揮しています。140年以上の歴史を有し、世界中に110,000人以上の従業員を擁し、持続可能で資源効率の高い未来に向けて日々努力しています。彼らの理念「Engineered to Outrun」は、単に技術の進化だけでなく、未来の産業に新たな価値をもたらすことを目指しています。この協業を通じて、ABBとNVIDIAがどのような未来を切り開いていくのか、今後の展開に注目が集まります。