国際保冷輸送の新たな時代
国際保冷輸送は、医療やバイオ関連業界において極めて重要なプロセスです。サンプルやワクチン、細胞など、温度管理が求められる物品の輸送は、従来からさまざまな課題を抱えていました。特に温度の逸脱や、それに伴う高額な輸送料が問題視されてきました。そんな中、株式会社ツインカプセラが開発した新しい保冷容器は、最大11日間という驚異的な温度維持能力を実現しました。これにより、国際保冷輸送の新たな基準が生まれています。
従来の輸送方法の課題
多くの国際保冷輸送では、大型の保冷ボックスに大量の保冷剤やドライアイスを詰め込む方法が一般的でした。この方法は結果的に、重くかさばる貨物となり、それに伴って輸送費が高騰する要因となっていました。さらに、通関の遅延が発生しやすく、これが温度逸脱を引き起こすことも珍しくありませんでした。これらの課題は、特に少量輸送を行う企業や機関にとって深刻な問題でした。
ツインカプセラの取り組み
2023年10月に、ツインカプセラは「スリム型”超”断熱保冷容器」のベータ版をリリースし、この製品は既に国内で利用実績を築いています。しかし、国際保冷輸送においては、さらに保冷性能が求められていました。そこで、同社はNEDO事業において、温度帯ごとに保冷性能を倍増することを目指して開発を進め、結果的に「性能倍増型”超”断熱保冷容器」を完成させました。この保冷容器は、最大で11日間の保冷が可能で、従来の製品と比較してもその性能は圧倒的です。
特徴的なデザイン
新しく開発された保冷容器は、従来のスリム型と同様に小型で細長い形状でありながら、一回り大きいサイズが特徴です。このデザインは、効率的に冷却を保ちながら、輸送時の利便性を高める要素となっています。
受賞歴と今後の展望
ツインカプセラは、2024年8月27日に開催されたNEDOの最終成果報告会にて、「性能倍増型”超”断熱保冷容器」に関する研究成果を発表し、優秀賞を受賞しました。この受賞は、同社の技術力と革新性が評価された証です。さらに、今後はこの新たな技術を生かし、より多くの企業や医療機関への普及を進めていく方針です。
関与する技術の背景
ツインカプセラの技術の核心には、JAXAのHTV搭載小型回収カプセルでの断熱保冷容器技術があり、この技術を基盤にしています。今後も、研究機関や医療機関との連携を深めつつ、この新しい保冷容器によるソリューションを提供していくことが期待されています。
「超」断熱保冷容器の挑戦的な開発の結果、国際保冷輸送の世界において、コスト削減や品質向上が実現可能となりました。ツインカプセラは、今後もこの技術を進化させ、新たなサービスを提供することを目指しています。