近視進行を抑える食品成分の新たな知見
近視の増加が世界的な健康問題化している中、食事からアプローチできる可能性が示されました。最近の研究で、クチナシ由来の黄色い天然色素、クロセチンが近視進行に対する抑制効果を持つことが明らかになりました。この研究は、慶應義塾大学医学部とロート製薬の共同研究によって進められ、特に遺伝子EGR-1の発現量が増加することが確認されました。
クロセチンは、サフランやクチナシの実に含まれるカロテノイドの一種で、抗酸化作用に優れていますが、その新たな可能性が近視改善に結びついたのです。研究チームは、クロセチンの投与が眼軸長の伸長や屈折度数の変化を有意に抑制することを報告しています。
この発見について、株式会社坪田ラボの創業科学者坪田一男氏は、生活の中で手軽に実践できる近視予防法を模索する重要性を訴えています。「近視の進行を抑制するために、食品などを通じて健康をサポートする成分を見つけられたことは大きな成果だ」と彼は語っています。
近視とその影響
近視は、視力の低下だけでなく、生活の質にも影響を及ぼします。特に、若年層の近視は急速に増加しており、全世界で約20億人が近視に悩んでいると言われています。学業や仕事に支障をきたすこともあり、社会全体にとっても重要な健康課題となっています。
クロセチンの研究背景
近視の研究はこれまでも数多く行われてきましたが、クロセチンのような天然成分の効果が確認されたのは今回が初めてです。この研究は、動物モデルを使用して行われ、投与されたマウスの屈折異常が改善されたことが示されています。この結果は、食品からのアプローチが近視の予防に役立つ可能性を示唆しており、将来的には商品開発へとつながることが期待されています。
今後の展望
坪田氏は、この研究を進展させることで得られるデータを用いて、より効果的な予防策を見つけ出したいと述べています。また、クロセチンが含まれる食品の普及を目指し、フード業界との連携も視野に入れています。近視という社会的な課題に対して、新たな解決策を提供することが求められています。
この研究の詳細は、
Scientific Reportsに掲載されており、さらに詳しい情報を得ることができます。食品からのアプローチで近視を予防するための道は、これからますます広がっていくことでしょう。