東京大学が開発した英語字幕生成ソフト
東京大学大学院工学系研究科に所属する松尾・岩澤研究室は、画期的なデスクトップソフトウェアを開発しました。このソフトは、日本語で話されている講義動画から英語の字幕を自動生成し、SRT形式の字幕ファイルを出力します。この取り組みは、2025年度からの大学院授業の英語化を背景に、より多くの留学生に講義を提供することを目的としています。
ソフトウェアの特徴
このソフトウェアは、講義動画の音声を聞き取り、書き起こしを行い、そこから日本語を整形して英訳し、さらに字幕に分割する全自動プロセスを持っています。最終的には人間の手による確認と修正のみが必要で、効率的な字幕作成を実現しています。また、使用されている音声認識技術「WhisperX」により、高精度に字幕のタイミングを調整することが可能です。
さらに、字幕の「読みやすさ」をプログラム側で検査し調整する仕組みを導入。表示速度や行あたりの文字数といった基準を守りながら、視聴者が快適に理解できる字幕を生成します。これにより、安定した品質の字幕を常に提供することができます。
開発背景
松尾研の設立ビジョンは「知能を創る」ことであり、この研究室ではAIに関する多くの講義を提供しています。2025年度には受講者数が年間70,000人を超える見込みで、多国籍な学生にAI教育の機会を創出してきました。これに伴い、留学生への講義提供を見据え、講義内容の英語化が求められていました。
しかしながら、従来は翻訳と字幕作成作業が手動で行われており、特に専門用語や数式を多く含む内容では作業負担が大きく、効率化が必要でした。そこでこのソフトウェアが開発され、課題の解決に寄与することとなりました。
実績と評価
実際に「深層学習/Deep Learning 基礎講座」の英語化にこのソフトウェアが活用され、講義1本あたりの字幕制作時間は約16%削減されました。また、生成された字幕の多くは、そのまままたは若干の調整で最終字幕として採用されるなど、高品質な翻訳が実現されています。
オープンソースとしての公開
このソフトウェアは、Apache-2.0ライセンスの下にオープンソースとして公開され、どなたでも無料で利用可能です。教育機関や研究機関が講義動画の英語化に取り組む際に役立つツールとして、広く普及することを目指しています。
まとめ
東京大学松尾・岩澤研究室の取り組みは、英語での講義提供の加速に寄与し、さらには教育の国際化を促進しています。今後、さらなる改善や機能追加が期待される中、このソフトウェアは教育界に新たな風をもたらす存在となるでしょう。
お問い合わせ
このプロジェクトに関する詳細は、東京大学松尾・岩澤研究室の
Githubリポジトリにてご確認いただけます。