最近、NIPPON EXPRESSホールディングス株式会社(以下、NXグループ)と株式会社グルーヴノーツは、航空貨物の混載仕立て業務の自動化を目指した実証実験を開始しました。航空輸送における混載仕立て業務は、異なる顧客の貨物を組み合わせて適切に航空機に積載できるようにする工程であり、これは高度な専門的知識や経験を必要とする難易度の高い作業です。特に、貨物のサイズや特性、さらには到着期日など、多くの条件を考慮しなければなりません。物流業界は現在人手不足が深刻化しており、こうした業務の効率化が急務とされています。
NXグループは、今年の3月にグルーヴノーツと資本業務提携契約を結びました。グルーヴノーツは、AIや量子コンピュータを用いた最先端のクラウドプラットフォーム「MAGELLAN BLOCKS」を提供しており、これは複合的な最適化を実現する能力に優れています。今回の提携によって、両社はこのプラットフォームを駆使し、従来は困難とされていた航空貨物の混載業務の自動化に向けた試みを行います。
この努力によって、混載業務の効率化に加えて、ヒューマンエラーを減少させることが期待され、結果として業務の正確性が向上します。
実証実験は、2023年5月に開始されました。最初の段階では特定のレーンや貨物種別を限定し、業務プロセスの整理とサンプルデータを使用して、最適化技術の検証が行われています。
今後は、実証実験の結果を基に、航空拠点における導入プロセスを進め、特定の路線だけでなく、広範囲な運用を模索します。方針としては、2025年中に航空混載業務に関する時間を5%削減し、さらにその後5年間で25%の削減を目指します。最終的には、NXグループ内での水平展開を図り、海運、鉄道、トラックなど多様な輸送モードにもこの技術を拡大していく計画です。
NXグループは、デジタルトランスフォーメーション(DX)を戦略の一環として位置付け、業務の効率化と省人化を図っています。このDX戦略では、デジタル技術を活用し、未来の事業領域を強化することが目指されています。
グルーヴノーツとの連携を通じて、今後は倉庫での人員配置の最適化、物量予測、操配業務の効率化などに取り組み、国内外の物流現場の改善を進めていく方針です。これにより、新たな付加価値の創出が期待されています。
また、「MAGELLAN BLOCKS」は、AIと量子コンピューティングを駆使するクラウドプラットフォームです。データの統合や分析、予測、最適化を行うための機能が揃っており、ブロックを構成することでシステムの設計が容易になり、運用もシンプルになります。これにより、技術導入のハードルが下がり、開発や改善の迅速化が実現されます。この取り組みによって、航空貨物業務だけでなく、物流業界全体において新たな可能性が切り開かれることが期待されています。
このように、NXグループとグルーヴノーツの協力は、航空貨物の未来における重要なステップとなることでしょう。両社の進化する技術によって、社会の物流システムが革新され、さらなる効率化と安全性を実現する日が待たれます。