中東情勢がもたらす塗装・防水工事業界への影響
近年、塗装工事と防水工事の倒産件数が増加しており、その原因として中東情勢が深く関係しているとされています。株式会社帝国データバンクの調査によると、2026年1月から5月までに発生した倒産件数は80件に達し、前年の85件に次いで高い水準にあります。特に今年は80件中56件が塗装工事、24件が防水工事に属しています。
倒産の現状と原因
この倒産の背景には、中東情勢によるナフサ不足が影響しています。ナフサは多くの塗料や防水材の原材料として使用されており、その供給が不安定になった結果、納期や価格に影響が及んでいます。実際、塗料や防水材の価格が高騰しているため、工事現場での見積もり提示が難しくなり、工期遅延も発生しています。
2000年以降の倒産件数を見ても、2025年には206件に達し、その勢いは止まらない状況です。特に負債が1億円未満の小規模事業者が多数を占めており、全体の約86.3%を占めています。このような小規模事業者は、工事の効率が低下したり、材料高騰に伴う利益圧迫を受けやすく、特に危険な状況にあるといえるでしょう。
人手不足と競争激化
コロナ禍以降、感染対策や半導体不足による住設機器の納期遅延からも影響を受けており、工事の進行がスムーズでなくなりました。さらに高齢化が進む中、職人の引退が相次ぎ、人手不足が深刻化しています。これが原因で人件費や外注費も上昇しており、企業の運営が困難になっています。
いっぽう、受注面ではリフォーム需要は堅調な一方で、新築住宅の着工件数が減少しており、さらに厳しい状況が続いています。発注者は安定した施工能力を求め、中堅以上の事業者を選定する傾向が強まっています。結果的に実績の薄い小規模事業者は大口案件を獲得するのが難しく、競争が激化しています。
今後の展望と懸念
資材の価格高騰と納期の不透明感が重なり、多くの企業が次々に資金繰りの行き詰まりに直面する恐れがあります。このままナフサの供給不安が続くと、今年の倒産件数が2025年を上回り、2000年以降の最多を更新する可能性があります。
業界全体が厳しい試練に直面している今、早急に対策が求められます。小規模事業者が持続可能な形で活動できるためのサポートが必要であり、より安定した材料の供給や資金調達のサポートが求められています。業界の未来を見据えた取り組みが急務です。