次世代のSPS装置開発に向けた岡山理科大学と連携の取り組み

次世代材料への扉を開くSPS装置の研究

スペースシードホールディングス株式会社が、岡山理科大学との協力のもと、新たな次世代SPS（Spark Plasma Sintering）装置の研究開発に着手しました。この取り組みは、未来の材料科学と技術革新が交差する重要なプロジェクトとして、各界から注目を集めています。

SPS装置の意義と現状

SPS技術は、粉末材料を短時間・低温で焼結するプロセスとして急速に進化してきました。特に、ナノ構造制御や新しい材料の創造において、そのポテンシャルは計り知れませんが、従来のSPS装置には加圧力の制限があり、新たな材料への応用に課題を抱えていました。最大でも0.5 GPaの加圧力では、難焼結材料には限界があります。

また、高圧合成法においては、大規模な装置と高コストが問題視されています。このような背景から、真に革新的なSPS技術が求められているのです。

新たな取り組みの始まり

当社と岡山理科大学は、2025年3月に次世代SPS装置に関する特許を出願しました。この装置は、従来のSPSでは不可能であった最大10 GPaという超高圧に対応した新たなアンビルセル構造を特徴としています。これにより、従来の装置では難しい材料合成が可能となることで、未来の技術における新しい道を拓くことが期待されています。

技術の詳細と革新性

本研究では、森教授が主導し、高圧科学の分野において実績のあるPalm型キュービックアンビルとSPS技術を統合する計画です。この新しい装置の特徴は次の通りです：

- 超高圧焼結: 10 GPaの静水圧環境下での放電焼結が可能。
- 微小試料の利用: 幅10mm以下の微小試料で高圧焼結ができ、軽量化が可能。
- 高再現性: 相転移合成の高再現性。
- モジュール化設計: 卓上化設計により分散型研究が可能。
- 高温対応: 導電ルート制御やセル構造の最適化により、高温環境でも安定した通電性を確保。

これにより、材料開発の新たな幕が開くことが期待されています。

実用化の未来と応用分野

この次世代SPS装置が完成すれば、ナノ多結晶ダイヤモンドや高耐熱セラミックス、新型電池材料などの新しい材料が探求できるようになります。これにより、産業応用が可能となり、未来の持続可能な社会に向けた技術が進化することでしょう。

また、当社は研究成果を基に、多層的なビジネス展開を目指しており、大学発のスタートアップとしての成長も視野に入れています。GAPファンドを活用し、技術の商業化やライセンシングを行う計画です。

今後の展開

今後は、Palm型アンビルを使用したプロトタイプの試作を進め、耐熱性や通電性能の評価を行います。その後、実材料を用いた合成試験を通じて、さらに実用化へと進む予定です。研究成果は国内外の学会で発表し、SPS技術のグローバルリーダーシップを確立することを目指します。

スペースシードホールディングスの使命

スペースシードホールディングスは「SFをノンフィクションにする」というビジョンのもと、宇宙関連の技術を社会実装することに取り組んでいます。2040年には、人類が宇宙で生活できるための技術基盤を整えることを目指しています。これらの取り組みは、単なる研究の域を超え、地球規模の社会課題の解決に寄与することを意図しています。

このプロジェクトは、未来のテクノロジーのかけ橋となり、新たな材料科学の確立に寄与することを目指しています。今後の成果に期待が高まります。