希少疾患オスラー病への理解を深める全国的取り組み
特定非営利活動法人日本オスラー病患者会は、全国に点在するオスラー病患者とその家族を支援し、医療従事者及び社会全体への認知を高める活動を行っています。オスラー病(遺伝性出血性毛細血管拡張症)は遺伝的要因により全身の血管に異常が生じる病気ですが、その認知度はわずか10%未満とされています。そのため、患者が適切な医療を受けられず、生活の質に影響を及ぼすことが多く見られます。
オスラー病とは
オスラー病は、主に鼻出血を引き起こす全身性の血管異常を伴う難病です。多くの患者は、再発する鼻血だけでなく、皮膚や内臓にも血管の異常を持っており、慢性的な貧血、脳梗塞、心不全などの合併症を引き起こすリスクがあります。また、日本における患者数は約1万人が推定されていますが、実際の診断者は非常に少ないのが現状です。
診断と治療の現状
オスラー病の診断は、繰り返す鼻出血や皮膚の赤い斑点、さらに家族歴を基に行われます。しかし、多くの耳鼻咽喉科医がこの疾患に関する認識が不足しており、適切な診断を受けられない患者が多いのです。多くの耳鼻科医が行う一般的な治療はオスラー病に適していないことが多く、場合によっては症状を悪化させる結果にもなります。
このため、オスラー病の患者たちは日常的に強い不安を抱え、生活の質が著しく低下しています。医療従事者にはオスラー病に特有の知識と治療法が求められるため、患者の登録や情報提供を促進することが、今後の課題です。
日本オスラー病患者会の活動
日本オスラー病患者会は、2012年に設立され、2015年に特定非営利活動法人として法人化。特に医療従事者への啓発活動に力を入れており、最近では医師や看護師向けの資料や動画提供に加え、患者交流会の開催も行っています。また、SNSを活用して社会的な認知活動を進め、国民への意識向上を図っています。
2025年度には、全国で患者交流会や公開講演会を開催する計画があるなど、具体的な施策も進行中です。これらの取り組みは、オスラー病に対する理解を深め、医療の適切なアクセスを実現するための重要なプラットフォームとなっています。
将来の展望
オスラー病の特徴は、早期発見と適切な治療が行えれば、重症化を防ぎ、生活の質を大きく改善できる点にあります。患者会は、「見えない病」を社会に可視化し、正しい情報を普及させることで、多くの患者が必要な医療を受けられる社会を目指しています。
課題と今後の活動
医療環境における課題は、多岐にわたりますが、特にオスラー病への認知度の低さ、医療従事者の経験不足、そして診療報酬の問題が大きな障壁となっています。現在も患者の声が医療現場に届かない現状が続いており、特に急性の整理が求められます。これらの問題を解決するためには、専門機関や団体との連携が不可欠です。
これからも日本オスラー病患者会は、患者支援や医療啓発活動を通じて、オスラー病への理解を広め、患者が適切な医療にアクセスできる社会の実現を目指して活動し続けます。国民の皆様からの支援をお願い申し上げます。