ジョグジャカルタでの新たな挑戦
2025年8月18日、インドネシア・ジョグジャカルタを訪れたスペースシードホールディングス株式会社とPT Awinaの代表者は、APKMの会長アフマッド・ジャナン氏を表敬訪問しました。この訪問は、インドネシア国内でのリュウガン栽培の新たなモデルに関する意見交換を目的として実施されました。
「ニュー・クリスタル」の特性
訪問の中心となったのは、インドネシアで改良されたリュウガンの新種「ニュー・クリスタル」です。この品種は、強健な地場台木と高品質果実の穂木を使用しており、約2.5年で初回の収穫が可能です。初期段階では約20〜30kgの収穫が期待でき、2回目、3回目と収穫量が増加するモデルが示されています。こうした特性から、農家の収益性の向上にも寄与が期待されています。
課題と解決策
APKMより報告されたインドネシア国内のリュウガンの需要は約700万トンですが、実際の生産は100万トン未満と、大きなギャップがあります。このため、輸入が行われており、価格も1kg当たり3万ルピア以上と安定しているため、農家にとって利益が見込める作物となっています。これに対処するため、次のような課題が協議されました。
1.
標準作業手順書(SOP)の作成
- リュウガン栽培における栽培方法から収穫までのマニュアルを整備し、実際の生産を証明するための操作手順を確立すること。
2.
多面的収益化の検証
- アクアポニックスシステムの導入や、水田との混植など、収益の多角化を図ること。
3.
人材育成
- 700世帯以上の農家ネットワークを活用し、研修カリキュラムを共同で設計し、実施すること。
4.
供給チェーンの整備
- 日本とインドネシア間での選果、冷蔵、ロジスティックス、品質規格の確立と、輸出の可能性を評価すること。
5.
観光との連携
- 摘み取り観光やミツバチの飼育によるリュウガン蜂蜜の生産促進を図ること。
6.
加工と高付加価値化
- リュウガンの果実を生果、乾燥果、ジュース、機能性原料としての高付加価値商品として展開していくこと。
7.
研究方針の確立
- リュウガン由来の多糖体に注目し、認知機能改善などの基礎データ収集、抽出条件の最適化、安全性評価を行い、将来的な商品開発につなげること。
代表者の言葉
スペースシードホールディングスの鈴木健吾代表取締役は、「リュウガンによる農家の収益性と地域雇用の充実を確認し、ジョグジャカルタを起点にした地域のモデルを確立したい」と語りました。一方、APKMのアフマッド・ジャナン氏も、国産品種「ニュー・クリスタル」に自信を持ち、協会のネットワークと日本の技術を活用して持続可能なロンガン産業を目指したいと述べています。
今後の活動
スペースシードホールディングスは、2025年度内に現地での実証を計画し、参加パートナーを募集し、さらに標準化を進める予定です。進捗については随時報告していく方針です。また、PT AWINAは社会問題解決のための事業展開を行い、環境に配慮したビジネスモデルを追求しています。
この取り組みは、ジョグジャカルタ地域の振興だけではなく、国際的な農業モデルとしても期待されています。