新型コロナウイルス不活化の実証
株式会社フジコーが開発した新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化を実証した光触媒フィルター「MaSSCシールド」の試験結果が、奈良県立医科大学で発表されました。この研究により、同フィルターが新型コロナウイルスに対して高い効果を示すことが確認されたことは、感染症対策において非常に意味のある一歩といえます。
フィルターの技術とは
フジコーのMaSSCシールド光触媒フィルターは、光触媒と抗菌金属をブレンドした特殊な液体を利用し、独自の「溶射」技術でアルミ繊維にコーティングされています。このフィルターは、抗菌性、抗ウイルス性、消臭性に優れた特性を持っており、空気消臭除菌装置に使用されています。
溶射技術
「溶射」とは、高温で融解させた粒子を基材に高速で衝突させ、層を形成する技術です。これにより、非常に強固で耐久性のあるフィルターが実現されています。
実施された試験内容
試験は、2020年12月1日から12月11日までの間、奈良県立医科大学にあるバイオセーフティレベル3の高度な施設で行われました。試験では、フジコー製のMaSSCシールド光触媒フィルターに新型コロナウイルスを浸漬後、同フィルターに対してLEDを照射。ウイルスがどの程度不活化したかを測定しました。具体的には、試験品と同じ素材の無加工フィルターが2時間後もウイルスを保持しているのに対し、試験フィルターではウイルスが検出限界値未満にまで減少しました。
試験結果の意義
この試験の結果、フジコーの光触媒フィルターは新型コロナウイルスに対して著しい不活化効果を示したことが確認され、ウイルスの感染価が大幅に減少したことが記録されました。また、以前に行われたネココロナウイルスに対する試験でも同様の不活化効果が確認されており、光触媒の特性から多様なウイルスに対して効果的であると期待されています。
製品の展望
フジコーでは、鉄鋼業界で培った溶射技術を活かし、高純度な光触媒成膜を実現しました。今後はこの技術をさらに発展させて、空気消臭除菌装置や消臭タイルといった衛生関連製品の開発に努めていく計画です。これにより、人々の生活をより安全で快適にすることを目指しています。
会社概要
- - 会社名: 株式会社フジコー
- - 設立: 1952年4月
- - 所在地: 福岡県北九州市戸畑区中原西2丁目18-12
- - 代表者: 萩尾 寿昭
- - 事業内容: 複合金属製品の製造・販売、光触媒製品の開発など
- - 公式サイト: www.kfjc.co.jp
新型コロナウイルスの影響により、消毒や感染予防のニーズが高まっている今、フジコーの光触媒フィルターは今後ますます重要な役割を果たすことでしょう。特に、複数のウイルスに対して効果を発揮できるという特性は、今後の公衆衛生対策において大いに期待されます。