2025年版EF英語能力指数が示す日本の現状
2025年版のEF英語能力指数(EF EPI)が発表され、日本の英語力は世界96位(スコア446)という結果に終わりました。この順位は前年と変わらず、アジア平均(477)および世界平均(488)を下回っていることが明らかになりました。今回はAIを活用した新たな評価手法が導入され、特に“話す”や“書く”力の不足が浮き彫りになりました。
日本の英語力の実態
EFが毎年実施しているこの調査は、世界123カ国・地域の成人を対象に、英語力を評価しています。2011年から実施されてきたこの調査の中で、日本は常に中位に位置し、英語教育が盛んなマレーシアやフィリピンなどと比べると大きな差が見受けられます。特に、「理解はできるが使いこなせない」という課題は、日本特有の問題であり、英語教育の方向性が見直される必要があります。 イー・エフ・エデュケーション・ファーストの分析チームのケイト・ベル氏は、「日本では読む・聞くに比べて、話す・書くのスコアが上がりにくい傾向がある」と述べており、これが国際競争力に影響を与えていることを指摘しています。
地域格差と若年層の英語力
調査結果によると、日本国内でも英語能力に明らかな地域差が見られ、関東地域のスコア(478)が最も高く、中国地方(436)が最も低い結果となっています。特に都市部ではビジネスや留学のニーズが高まりやすいため、英語力向上の機会も増加しますが、必ずしも全ての地域が同じ状況にあるわけではありません。
さらに、若年層(18〜25歳)のスコアが全世代で最も低いことも問題視されています。デジタルネイティブ世代が学校教育やオンライン学習で英語に触れる機会が多いにも関わらず、実際には十分なスコアに結びついていないことは、教育方法や環境に問題があるのかもしれません。
世界共通の課題とAIの影響
EF EPIの結果は、日本だけでなく世界中で共通する“話す力”の不足を浮き彫りにしています。今回の調査で導入したAIによるスピーキング・ライティング評価により、世界の半数以上の国でスピーキングが最も弱いスキルであることがわかりました。これは、従来の教育方式では限界があり、より実践的なトレーニングが求められることを示唆しています。
また、EFは毎年国際的な指標との相関分析を行い、英語力が高い国においては他の教育や労働市場においても高いレベルが保たれていることを指摘しています。日本でも、AIを活用した英語プログラムが普及すれば、英語を「理解する」だけでなく、「使いこなす」力を身につけることが期待されています。
まとめ
2025年版EF英語能力指数から見える日本の英語力は、確かに厳しい現実を示していますが、同時に改善の余地も残されています。英語教育のあり方を再考し、特に“話す”力の向上に向けた取り組みが急務です。留学の機会やAIによる学習ツールを通じて、未来の日本人が国際的に競争力を持てるよう、今後の努力が必要です。
調査の詳細や分析は、公式サイトからも確認できますので、ぜひご覧ください。