メタバース役所がもたらす新たな住民相談の形
2024年7月に新潟県三条市で実施される予定の「メタバース役所」の実証事業が、地域住民に新しい相談サービスを提供します。この取り組みは、大日本印刷(DNP)が新潟県三条市やPwCコンサルティングと連携し、地域の課題をテクノロジーで解決しようとする試みです。
背景
近年、地域の問題は多様化・複雑化しており、住民サービスの充実が不可欠とされています。一方で、自治体は人手不足や業務の範囲拡大という課題に直面しています。DNPは、「メタバース役所」を通じてデジタルトランスフォーメーションを推進し、住民サービスの向上に貢献することを目指しています。
実際の相談件数が増える中で、「離婚」などのプライバシーが求められる相談内容に対して、住民がスムーズにアクセスできる環境を整える必要があります。これに対し、「メタバース役所」はプライバシー保護の観点から独自の機能を備えています。
メタバース役所の特長
1. プライバシー保護
「メタバース役所」では、相談内容が他人に漏れない遮断機能が導入されており、安心して相談ができる環境が整っています。匿名での相談も可能で、AIアバターを通じたコミュニケーションは、対面やWeb会議よりも自己開示を促しやすいとの調査結果もあります。これにより、心理的な負担の軽減を図っています。
2. 一貫したサービス提供
利用者は、メタバース上で自治体の役所開庁時間に制約されることなく、いつでも相談が可能です。AIアバターは、相談内容に基づいて必要な手続きや行政支援の案内を行い、その場で問題解決をサポートします。
実証事業の意義
この実証事業は、特に「離婚」に関する相談に特化し、心理的ハードルを下げることが目的です。市民が相談しやすく、必要なサポートを得られることで、地域の持続可能な発展に寄与することが期待されています。
未来への展望
DNPは、「メタバース役所」の相談機能を全国の自治体に拡大し、住民が抱えるさまざまな問題を迅速に把握し、適切に対応するための新たなサービスを開発していく方針です。このことにより、地域住民の悩みや不安を軽減し、より豊かな地域社会を築くための一助となるでしょう。
DNPのXRコミュニケーション事業
DNPは、XR(Extended Reality)コミュニケーション事業を展開し、多様な人々がリアルとバーチャルの両方を行き来できる新しいサービスを創出しています。「メタバース役所」を通じて、地域活性化や教育支援、行政サービス向上に貢献していく姿勢を持っています。
このような「メタバース役所」の取り組みは、より多くの地域の問題解決に寄与することが期待され、多くの自治体での利用が模索されています。テクノロジーを活用した新たな地域サービスが、これからの時代において重要な役割を果たすことでしょう。