杉山清貴のコンサートツアー『古いシネマを観るように…』が、11月9日(土)神奈川・KT Zepp Yokohamaからスタートした。
今回のツアーは、杉山清貴&オメガトライブのデビュー40周年を記念したツアーとは異なり、西脇辰弥(ピアノ・シンセ・ハーモニカ)、堀川真理夫(ベース・ドラム・パーカッション)、住友紀人(サックス・シンセ・コーラス)という3人だけのミニマム編成で行われる。この編成は、コロナ前に東京・椿山荘の他、3か所ほどで開催されたプレミアムなステージの再来だ。
ツアータイトルに『古いシネマ』とあるだけに、映画音楽が多く構成されているのかと思いきや、そうではない。杉山は、「昔のヒットチャートには映画音楽が入っていて、それをも楽しんで聴いていた」という思いを込めて、映画音楽を楽しむように自身の楽曲の中から、いろいろな景色、シーンが見えてくるように選曲をしたという。
オープニング曲直後に届けられたナンバーは、映画『ノッティングヒルの恋人』(1999年公開)の主題歌でエルビス・コステロが歌った「She」(オリジナルはシャルル・アズナブール:1974年)。いつまでも変わらない杉山清貴の歌声を聴きながら、今回のライブ・テーマへと誘われていくのを感じた。
その後も、軽快な杉山のトークによる楽曲紹介と共に、ハワイやニューヨーク、横浜、そして夜や夏の風景といったテーマ、光景が盛り込まれた歌の世界が展開される。演奏は、名手たちによるハーモニカやサックスの旋律がフィーチャーされ、聴くものの中にそれぞれの風景が描かれたであろうステージが展開された。ツアーは始まったばかりなので、届けられた楽曲は会場でお楽しみ頂きたい。
ミニマムでシックな今回のステージは、全国を回っていく中でサウンドもより一層熟成され、ツアー最終日にはいったいどんなステージへとなっていくのか、期待が膨らんだ初日だった。