沖縄県宮古島における新たな交通システム実証実験
2023年10月25日、沖縄県宮古島市で、BRJ株式会社が提唱する新しい電動モビリティシェアリングサービス『TOCKLE』の実証実験が開始されました。このプロジェクトは、観光名所である宮古島の交通問題を解決するための官民共同の取り組みです。
既存交通の課題と解決策
宮古島は、年間およそ100万人の観光客が訪れる人気のスポットです。しかし、その人口流入に伴い、レンタカーの需要が増加し、駐車場が不足する事態と、交通渋滞や事故の増加といった深刻な問題が表面化しています。公共交通機関である路線バスは本数が不足し、観光客や地域住民にとっての便利な移動手段とは言えないのが現実です。これに対処するために、宮古島市はループバスやデマンド交通などの改善策を講じていますが、十分な交通網はまだ確立されていない状態です。
このような背景から、『TOCKLE』は小型モビリティを用いて、既存の交通手段を補完しようとしています。具体的には、リアルタイムでの移動ニーズを分析し、地域交通政策に反映させることを目的としています。さらに、実験では安全を重視した運用が行われ、夜間運用の制限や交通ルールテスト、走行の制御機能が実施される予定です。
実証実験の概要
- - 実施期間: 2025年10月25日(土)~2026年1月31日(金)
- - 貸出時間: 6:00~20:00
- - 配置場所: 宮古島市公設市場、パイナガマ海空すこやか公園、宮古島観光協会
- - 利用方法: 「TOCKLE」アプリでの会員登録が必要
- - 料金プラン:
- サクッとプラン: 基本料金150円 + 10分ごとに200円
- ゆったりプラン: 6時間以内定額4,500円(以降10分ごとに200円)
安全性に対する取り組み
『TOCKLE』は、地方特有の交通空白を解消することを目指すだけでなく、利用者の安全を確保するために、様々な工夫を凝らしています。具体的には、ジオフェンシング機能による危険エリアの侵入防止や、夜間の運用を全面的に禁止するルールが設けられています。これは、夜間の交通のリスクを考慮した結果で、安全を最優先にする姿勢が伺えます。
実施地域の拡大
BRJ株式会社が過去に導入した実績としては、東京都立川市、千葉県流山市、福岡県福岡市などが挙げられます。今回の実証実験を成功させることで、他の自治体へのさらなる展開も期待されます。現在も山梨県甲府市や佐賀県佐賀市などで導入を検討中です。
企業のビジョン
BRJ株式会社の社長は、社会人としてのキャリアを物流トラックのドライバーから始めており、この経験を元に交通に関する安全性を重視した事業展開をしています。『TOCKLE』は、地域社会と密接に連携しながら、交通問題の解決に向けた取り組みを進めていきます。
新たな試みである『TOCKLE』の実証実験は、宮古島の交通問題解決に寄与し、より安全で快適な移動手段を提供することを目的としています。今後の展開にも注目が集まります。