東京都心のワンルームマンション市場の変遷
東京都心のワンルームマンション市場は近年目覚ましい変化を遂げています。株式会社TOCHUによると、2017年から2024年の間に、東京都23区で取り扱われたワンルームマンションの平均成約価格は、1,466万円から2,254万円まで上昇し、累計で788万円(約153.8%)の増加を記録しました。一方、賃料は78,316円から88,361円へと上昇したものの、その率は112.8%にとどまり、利回りは6.88%から4.99%と低下傾向にあるのが実情です。
調査の背景と意義
TOCHUが実施したこの調査は、他の公的機関や企業が発表する価格データとは異なり、実際に成約した価格を基にした信憑性の高いものです。このため、実際の取引状況を考慮した市場のトレンドを把握する際に非常に有用です。
各エリアのトレンド
都心六区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、文京区)
特に注目されるのが都心六区で、2017年の平均成約価格は1,716万円から2024年には2,795万円まで上昇しています。これに対し、賃料は84,897円から99,218円へと上昇しましたが、利回りは6.07%から4.50%と低下しています。このエリアはプレミアム市場としての性格が強まり、投資利回りよりも資産価値の希少性が重視されている状況です。
城東エリア(中央区、江東区、台東区、墨田区、葛飾区、江戸川区)
城東エリアでは、2017年の成約価格が1,743万円、2024年には2,202万円まで上昇しましたが、価格上昇率は比較的緩やかなものの、賃料も上昇しており、安定した市場といえます。
城西エリア(渋谷区、新宿区、世田谷区、中野区、杉並区、練馬区)
城西エリアは2017年に1,326万円から2024年には2,085万円へと成約価格が上昇しましたが、こちらも利回りは減少傾向にあります。投資効率の良さが特徴的です。
城南エリア(港区、品川区、目黒区、大田区)
城南エリアは最も価格上昇が著しく、2017年に1,457万円だった平均成約価格が2024年には2,838万円を記録。このエリアは高価格帯市場としての性質を強化していますが、賃料の上昇が価格に追いついていないため、利回りは低下しています。
城北エリア(文京区、豊島区、板橋区、北区、荒川区、足立区)
城北エリアは、成約価格の上昇が比較的緩慢で、賃料水準を保持しているものの、全体の利回りは良好さを維持しています。こちらは価格の安定性が見られます。
投資動向の変化
TOCHUの代表取締役、伊藤幸弘氏は、最近の市場状況を分析し、インフレや希少性の高い不動産の人気が影響していると述べています。また、金利の上昇が取引件数に影響を及ぼす中で、価格が上昇し続けるという困難な環境が続いているとも指摘しています。投資家のマインドも「利回り」重視から「資産価値の希少性」重視へとシフトしていることが伺えます。
まとめ
東京都心のワンルームマンション市場は、過去8年で劇的な変化を遂げる中、特にエリア毎の動向には明確な違いが現れています。今後の市場動向に注目し、適切な投資判断を行うことが求められる時代です。TOCHUは引き続き、正確なデータを基にした情報発信を通じて、投資家に有益な知見を提供していく所存です。