QUICKとペイロールが共同開発したQPI
株式会社QUICKと株式会社ペイロールが新たな賃金指標「QPI(QUICK-Payroll Index)」を開発し、その提供を始めました。この新指標は、企業の賃上げ状況を迅速かつ多角的に分析することを目的としています。
速報性の重要性
近年、物価の上昇が続いており、企業の賃上げは経済政策や個人の生活に大きな影響を与える要素となっています。QPIの最大の特長は、給与支払い月の翌月初めにはデータが算出されるという「速報性」です。この特性により、公的な統計データよりも早く賃金のトレンドを把握することができ、マクロ経済の先行指標としても有用です。
例として、2025年6月の支払いデータでは、ペイロールのサービスを利用する企業グループ55社に属する137社を対象に、約110,869人分の給与計算データが用いられています。ペイロールのサービスを利用する企業は2024年3月時点で260社に達しており、賃金の分析がより広範囲にわたる結果となっています。
QPIの主な特長
速報性
QPIは給与が支払われた月の翌月初旬には指標を算出できるため、企業の最新の賃金動向を迅速に把握できます。
正確性
実際の給与計算データを基にした分析により、企業のリアルな賃金動向を正確に反映させます。
多角的な分析
基本給などの「所定内給与」、実際に手元に残る「可処分所得」、さらには、税や社会保険料の動向などを前年同月比で算出し、生活実感に近い分析が可能です。
2025年6月の賃金データ
2025年6月には、所定内給与が前年同月比で3.1%増加しましたが、これは物価上昇に追いついていないことが課題です。一方で、可処分所得は前年同月比で5.2%減少し、この背景には2024年6月の定額減税の影響が挙げられます。
2025年の可処分所得のデータは、賞与を含むため、昇給効果を考慮するには、定期的な情報として2025年5月のデータも観察することが推奨されます。5月の可処分所得は前年同月比で2.3%の増加が見られたものの、その伸び率は給与の伸びよりも遅れていることが分かります。
今後の展開
QUICKは、QPIを活用した詳細な分析レポートを毎月公開し、企業の賃上げ実態を継続的に発信していきます。この取り組みにより、金融機関や事業会社、投資家、研究機関など多くのステークホルダーの意思決定に貢献することを目指しています。
QUICKの使命
QUICKは、日本経済新聞社グループの一員であり、金融業界を中心とした様々な分野の意思決定を支援するため、公正で中立な情報サービスを提供しています。経済の動向を敏感に捉え、未来を見据えたサービスを展開していくことで、信頼される情報源として根付いています。
詳しくは
QUICK公式サイトをご覧ください。