フェリス女学院大学とスズキが共に進める自動運転車サウンドデザインの最前線

新しい時代の交通システムを支えるサウンドデザインの挑戦

メディアや技術の進化と共に、交通の在り方も大きく変わりつつあります。特に注目されるのが、自動運転車の開発であり、その普及が進む中、交通の安全性や円滑なコミュニケーションが求められています。特に交差点や人通りの多い場所では、ドライバーや歩行者へ車両の動作を円滑に伝える必要があります。それをつかさどるのが、フェリス女学院大学の中西宣人准教授とスズキ株式会社の共同研究によって生まれたサウンドデザインです。

この研究は、レベル4自動運転車が示すべきさまざまな動作や状態を、報知音を通じて効果的に伝達することを目的として進められています。自動運転車が完全に実用化される日が近づくにつれ、車両本体が周囲の状況に応じて、停車や曲がるなどの動作を声音で通知する必要性が高まってきました。

研究の進捗と目的

本研究では、視覚での情報に加え、音によっても車両の動作を能動的に知らせることが重要であるとの観点から、報知音のデザインが行われました。対象ユーザーには、視覚障害者や見えにくい状況の利用者が含まれており、音声に頼ったコミュニケーションは一層重要です。具体的には、安全性、親しみやすさ、先進性、明瞭さといった要素を視覚化し、音に反映させることがポイントとなります。

研究チームは、実際に8つのシチュエーションに基づいて、計6つの音パターンを設定しました。具体的には、自動運転車の発進や停止を知らせる音、ドアの開閉を通知する音、バス停における停車および発進の音、さらには臨時の停車や緊急停止を警告する音がデザインされました。

報知音の有効性検証

新たに開発された報知音の効果を確認するため、VR（仮想現実）技術を用いた実験が実施されました。参加した被験者は、さまざまな年齢や性別の人々であり、VRを通じて自動運転車との遭遇シーンを体験し、音に対する印象や明瞭さ、心地良さなどについて評価が行われました。このプロセスには、フェリス女学院の学生たちも積極的に参加し、リアルなフィードバックを提供することで、研究に貢献しました。

浜松市での実証実験

開発された報知音は、浜松市で行われた「浜松自動運転やらまいかプロジェクト」の一環として試験運用されました。この実証実験は、路線バスが廃止された地域における交通不足を解消することを目的としており、開発された音のデザインは、今後の実用化に向けた重要な要素となります。

まとめ

自動運転技術とサウンドデザインの融合は、未来の交通システムの構築において不可欠な要素です。フェリス女学院大学とスズキの共同研究は、新たなコミュニケーション手段を通じて安全で安心な移動を実現するための重要な一歩を踏み出しました。これからの実用化が待ち望まれます。自動運転車が生活の一部となる未来を想像しながら、その進展を見守りたいものです。