伝統文化の灯を守る「茅刈りレスキュー」
和歌山県有田川町で、約600年の歴史を持つ伝統祭事「御田舞」を復活させるためのワークショップ、「茅刈りレスキュー」が2025年12月7日(日)に開催される。国指定の重要文化財「雨錫寺阿弥陀堂」の茅葺き屋根の修復を目指し、参加者が実際にススキを刈り取るという内容だ。
御田舞の歴史と現状
「雨錫寺阿弥陀堂」は1514年に建立された重厚な茅葺き屋根の建物で、かつては五穀豊穣を願う「御田舞」が行われていた。この伝統祭事は、神事として地域の人々に愛され続けてきたが、過疎化や担い手不足により、2018年に「休止」に追い込まれてしまった。現状、存続の危機にある文化を守ろうとする動きが求められている。
「茅刈りレスキュー」の目的
「茅刈りレスキュー」は、茅葺き屋根の材料を確保するだけでなく、地域に住む人々や外部の人々が一緒に協力する機会を提供することを目的としている。また、参加者が地域の伝統文化と自然の大切さを学べる場でもある。茅葺きに用いるススキを生石高原で刈り取ることにより、文化の保護と同時に景観維持にもつながる。
ワークショップの詳細
イベントでは、茅葺き職人の山田雅史さんからレクチャーを受けながら、ススキの刈り取りを行う。参加者は、ススキを鎌で刈り取り、束ねる作業を体験する。イベントの参加費は、昼食なしの通常プランが2,000円で、お弁当付きプランが2,500円。収益の一部は、地域の環境保全活動へ寄付される。
前夜祭と文化の継承
さらに、12月6日(土)には「前夜祭トークイベント」を開催予定。職人や地域の文化に詳しいゲストが、雨錫寺阿弥陀堂の歴史や茅葺き文化について語る。参加者同士の交流の場としても機能し、地域の魅力を深掘りする良い機会となるだろう。
地域の魅力発信と継続的取り組み
「一般社団法人しろにし」は、移住支援のための活動を行う団体で、このイベントもその一環だ。地域の人と外部の人々がつながることで、新たな関係人口が生まれることを期待している。こうした取り組みを通じて、有田川町の魅力が広がっていくことが望まれる。参加者が地域の文化の一端を担う経験をすることで、未来につながる新たなコミュニティの形成が促されるだろう。
この「茅刈りレスキュー」ワークショップは単なる作業だけではなく、地域の文化や景観を守るための重要な活動だ。地域の人々の力を借りながら、伝統文化の灯をともし続けることが大切だ。ぜひ参加して、一緒にこの歴史ある文化を未来へとつなげていこう。