組織の持続的成長を支える『定着経営』
新しい経営思考『定着経営』の背景には、少子高齢化や労働力人口の減少がある。これにより、多くの中小企業が抱える「採用しても人が定着しない」という課題が浮き彫りになっている。これまでの人材戦略では、採用した社員が早期に離職することで、採用費や教育費が無駄になり、残された社員への負担が増加し、さらなる離職を引き起こすという悪循環が生じていた。
定着の重要性
本書では、従来の「採用→育成→定着」という手順を見直し、「定着→育成→採用」という新しいアプローチを提唱。まずは社員が長く働き続けられる環境を整え、その後に必要な人材を採用することが鍵である。
離職を防ぐためのアプローチ
離職の原因を解剖すると、3つのギャップが浮かび上がる。経営者が求める理想と、社員が実際に体験している現実との間に存在する「基準のギャップ」、「報酬のギャップ」、「関係のギャップ」である。こうした視点から組織の問題にアプローチしなければ、持続的な成長は望めない。
企業の持続的成長に向けたモデル
本書では、企業が成長するための手法として「3つの役割」に焦点を当てている。経営者は方向性を示し、仕組みの担い手がデータや制度でサポートし、管理職が現場での対話を重視する。これにより、定着経営を進めるための環境を整え、企業全体としての結束を図ることが可能となる。
具体的な実施手順
さらに、具体的な実施手順として「3ヶ月・1年・3年」のロードマップを用意しており、各期間内での目標を設定し、進捗を確認することができるようになっている。このアプローチにより、「いつかやる」といった先延ばしを防ぎ、即効性のある対策を打つことが可能になる。
1on1の重要性
特に重要な施策として「1on1ミーティング」を挙げている。部下の本音を引き出し、関係性のギャップを埋めることで、組織の結束力を高めることができる意義が説明されている。巻末には、その実践的なシートも収録されており、すぐに活用できるツールが用意されている。
企業が取り組むべき姿勢
船井総研ヒューマンキャピタルコンサルティングの代表取締役社長、村田泰子氏は、定着を単なる防止策ではなく、経営の基盤と捉えることを強調し、経営者の意識改革が必要であると提言する。人が辞め続ける環境では、蓄積されるものは何もなく、全てが失われてしまうからだ。この考えを基に、定着経営へのシフトが求められている。
結論
『定着経営』は、今の企業が持続的に成長するための新たな道しるべであり、多くの中小企業がこの概念を適用することで、組織内に安定した人材を抱え、成長を遂げることが期待される。8月21日に出版される本書を通じて、多くの企業が新たな視点からの人材戦略を考えるきっかけになることを願いたい。