ホシザキの新製品が解凍の常識を覆す
近年、家庭や業務用に冷凍食品の需要が高まっていますが、その裏には「美味しく解凍する」ことが重要だという新たな課題が浮上しています。そんな中、総合フードサービス機器メーカーのホシザキ株式会社が発表したのが、業界初の真空冷却とマイクロ波加熱を組み合わせた解凍機「真空マイクロ波解凍機」です。この革新的な製品は、2023年7月28日から出荷が開始され、多様な食材に対応した解凍を実現しました。
解凍技術の進化
これまでの一般的な解凍方法では、内部が溶けにくい食材において解凍のムラが生じ、ドリップによる栄養素の流出や、旨みの喪失が課題とされていました。真空マイクロ波解凍機は、表面をマイクロ波で加熱しつつ、食材全体を均一に解凍する技術を採用しています。これにより、ドリップを抑制し、食材の美味しさを最大限に引き出すことに成功しました。
人手不足や食品ロスへの対応
さらに、この解凍機は業界が直面している人手不足や食品ロスといった問題への解決策にもなります。業務用の解凍作業はスキルを必要とし、経験による品質のバラつきも生じていましたが、真空マイクロ波解凍機であれば、誰でも簡単に操作できます。また、長時間の解凍が必要だった食材も、短時間で高品質の解凍が可能となり、売れ残りのリスクも軽減されます。
改良された使い勝手
ホシザキは、以前の製品の課題を踏まえ、解凍機をコンパクトで価格を抑えた形でリリース。サイズを横長に変更し、上部をテーブルとしても使用できる利便性も考慮されています。タッチパネル式の操作で、解凍物の重量とレベル設定が容易で、これまでにない使い勝手を実現しました。
食材ごとの解凍時間
例えば、マグロの赤身サクは従来の解凍法だと約2時間を要しますが、この新解凍機を使えば約40分で済みます。その他の食材でも解凍時間は大幅に短縮され、品質は向上。冷凍食品業界の新たなスタンダードとなることが期待されています。
未来の食品業界を牽引する技術
ホシザキは、今後さらなる製品ラインナップの拡充を見込み、新技術の研究開発を続けていく予定です。この真空マイクロ波解凍機が導入されれば、食品業界にとって新たな時代の幕開けとなるでしょう。