IHIが「UPCYCLE」を導入し調達改革を加速
株式会社IHIは、製造業向けの調達データプラットフォーム「UPCYCLE」を導入したことを発表しました。A1A株式会社が提供するこのプラットフォームは、調達・購買業務の改革を目指し、見積もり査定業務の効率化とコスト管理の適正化を実現することを目的としています。
IHIとUPCYCLEの導入背景
本導入は、IHIが進める中期経営計画の一環であり、業務プロセスの効率化やデジタル基盤の強化に向けた重要なステップです。IHIの車両過給機SBUの調達部門では、自動車や産業機械向けのターボチャージャーの製造に伴い適正価格での調達を課題としており、業務の効率化と精度向上が急務となっています。
特に近年の物価上昇による原価管理の難しさが背景にあり、コストに関する情報が適切に蓄積されていなかったため、判断のための正確なデータが必要とされていました。ここで「UPCYCLE」の導入が決定されたのです。
UPCYCLEの機能と利点
「UPCYCLE」は、見積書の明細情報をAI-OCR技術を使用して構造化したデータベースを作成し、様々な視点からの見積分析を容易にするツールです。これにより、見積書の比較がスムーズになり、コストダウンの可能性を探ることができます。
さらに2024年12月には、見積明細情報にとどまらず、関連する図面やコミュニケーション履歴がデータベース化される予定です。新たに開発されるAI類似図面検索機能も導入されることで、情報の双方向からの検索が可能になり、業務全体の効率化が図られます。
IHIの見通し
IHIの車両過給機SBUの生産統括センター部長、小林伸久氏は、UPCYCLEによって原価分析の強化や情報の一元化が期待されるとし、特に製品の価格整合性をタイムリーに判断するためには、コスト分析の重要性を強調しています。この新しいプラットフォームが、IHIの調達業務の質を向上させ、コスト改善活動につながることを期待しています。
今後の展望
A1Aは、UPCYCLEの導入を通じて日本の製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、業界全体の競争力強化に貢献する方針です。
両社の取り組みから目が離せません。IHIとA1Aが共同で進めるこの新しいビジョンが、製造業の未来を切り開いていくことでしょう。