輪島市での移動図書館事業の開始
石川県輪島市において、仮設住宅を巡回する移動図書館事業が2024年7月からスタートしました。このプロジェクトは、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が中心となり、地域に深く根ざした支援活動を行っています。仮設住宅に暮らす人々に対し、特に高齢者や孤立しがちな方々が心地よく過ごせる環境を提供し、人との交流を促進することが目的です。
背景と目的
この取り組みは、2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震を受けて始まりました。シャンティは、地震後早々に緊急支援隊を派遣し、避難所の運営支援や炊き出し、足湯活動など様々な支援を展開してきました。しかし、仮設住宅への移行が進む中で、多くの人々が自宅にこもりきりとなり、新たな環境での人とのつながりに課題を抱えるようになっています。そこで、輪島市図書館と協力し、移動図書館活動を実施することが決定されました。
この移動図書館事業を通じて、訪れる人々が安心して本を手にし、気軽に交流を図る場を提供することが目指されています。輪島市立図書館との協定に基づき、移動図書館の運行が進められています。
事業の運営体制
移動図書館の運行は、仮設住宅や公民館を訪問しながら進められます。シャンティは、輪島市立図書館の職員と連携し、現地の状況を調査した上で実施計画を立てています。移動図書館を運営するために、書籍や本棚、さらにはテントや簡易テーブルを積んだ車両が用意されており、試験的な運行も既に行われています。
本の貸し出しだけでなく、来訪者同士の交流を促進するための活動も検討されています。また、図書館カードの発行や書籍の登録などは、輪島市の既存のシステムを利用することにより、スムーズな運営を行う予定です。
試験運行の様子
移動図書館の試験運行は2024年7月と8月に行われ、仮設住宅や公民館を訪れて利用者とのふれあいを図りました。これにより、住民の皆様からの反響やニーズを把握し、今後の活動に生かしていく考えです。
現在の図書館状況
輪島市立図書館は、現在は「道の駅 輪島ふらっと訪夢」にて仮設営業を行っています。地震の影響で多くの書籍や書架がダメージを受けており、通常開館は難しい状況です。輪島市立門前図書館も、傾いたために状況は厳しいものの、本の貸し出しのみを再開しています。
地震後の復興はまだ道半ばですが、移動図書館事業は地域に希望をもたらす大切な取り組みとなるでしょう。この取り組みを通じて、輪島市の住民が少しでも心の安らぎを得られることを願っています。