2025年米国EV市場調査:安定した購入意向
顧客満足度に関連する調査を行うJ.D. パワーが、2025年の米国における電気自動車(EV)購入検討意向に関する調査結果を発表しました。この調査によると、経済的な逆風や市場の不確実性にもかかわらず、消費者の間でのEVに対する関心は依然として高く、安定した需要が示されています。
調査の主なポイント
調査結果では、新車購入を検討中の消費者の24%がEVを購入する意向を「非常に高い」とし、35%が「ある程度検討している」と回答しました。この数字は昨年と同様の水準を維持しています。
ブランド比較
EV購入希望者は様々なブランドを検討しており、購入意向が「非常に高い」と回答した層は平均で2.9のブランドを比較しています。これに対し「ある程度検討している」層は2.8ブランドを比較していることが分かりました。この傾向は、ガソリン車検討者と比較した場合にも顕著で、EVに比べてガソリン車購入検討者は平均2.5ブランドを比較しています。これにより、自動車メーカーにとっては他ブランドからの顧客を引き込む良い機会となっていると言えるでしょう。
価格と維持費の懸念
一方でEVを選択しない理由として、充電インフラの不足が最大の要因であることが分かりました。新車購入検討者の52%がこの理由を挙げています。しかし昨年に比べ、購入価格への懸念は43%に減少し、維持費に関しても33%に減少しています。これは消費者のEVに対する理解が進んでいる可能性を示唆しています。
若年層と高所得層の関係
調査では、25〜49歳の若年層において、年収10万ドル以上の割合がわずかに17%であるとされています。若年層はEVに関心が高いものの、購入する経済的余裕がないケースが多く、一方で高齢層は経済的余裕があっても興味が低いという相反する傾向が見えてきました。これは、より手頃な価格の機種に対する需要があることを意味し、マスマーケットブランドのEVが成長を後押ししていることが窺えます。
地域別の関心
さらに調査結果を地域別に見ると、米国中西部ではEVへの関心が低いことが際立っています。ウィスコンシン州やケンタッキー州などでは、EV購入意向が「非常に高い」層が18%にとどまっていることが報告されています。この現象には、寒冷地でのEV性能への不安や、伝統的な自動車メーカーへのブランドロイヤルティが影響していると考えられます。
J.D. パワーのコメント
J.D. パワーのEV部門エグゼクティブディレクター、ブレント・グルーバー氏は「市場が揺れているにもかかわらず、EVは消費者にとって現実的な選択肢である」とし、消費者のニーズに応じた製品の提供や市場啓発の重要性についても言及しました。
調査概要
本調査は、12か月内に新車購入(リースを含む)を検討している消費者を対象に行われ、インターネットを通じて実施されました。回答者数は8164人に上ります。
この調査結果は、EV市場の未来を見通す上で非常に重要なデータとなり、今後の自動車選択肢を探る際の貴重な指標となることでしょう。