日本文化におけるエキゾチシズムの深層を探る新刊書のご紹介

日本エキゾチシズム文学史 - 新たな視点を提供

2025年5月26日、東京書籍株式会社から待望の書籍『日本エキゾチシズム文学史』が発売されます。この書籍は、広島大学森戸国際高等教育学院が編集を手掛け、世界各国の研究者たちがその研究成果を結集したものです。日本からの異文化への視線と、外国から日本を見つめる目線が交錯し、日本文学の中でのエキゾチシズムについて深く掘り下げています。

異文化との出会いの探求

本書は、全10章で構成され、古代から現代に至るまでのエキゾチシズムを様々な視点から探求しています。奈良時代や平安時代から近代の文学作品まで、エキゾチシズムの影響がどのように表現されてきたのかを考察しています。たとえば、奈良時代の貴族たちが「檳榔」に込めた異国への憧れや、明治時代における芥川龍之介の作品に見られる異国の身体観、さらには中島敦の南国描写、そして現代の漫画『鬼灯の冷徹』における地獄観まで、多様な事例が取り上げられています。

国際的な研究者陣による執筆

執筆陣は、日本国内外の多様な国籍を持つ研究者たちから構成され、彼らの視点が新たな知見をもたらしています。また、留学生たちによる現代日本に関するコラムも収録されており、普段とは異なる視点から日本の文学や文化がどのように映っているのかを紹介しています。これにより、読者は日本文化をより深く理解する手助けを得ることができるでしょう。

内容の多様性と深さ

本書の詳細な目次を見てみると、各章が異なる時代とテーマに焦点を当てており、内容の多様性が際立っています。各章には異国情緒を追求するための豊富な資料と、研究者たちの独自の分析が含まれており、非常に読み応えのある一冊です。特に、「奈良・平安から江戸時代まで」と題された第一部では、古代の異文化との接触の様子が詳細に描かれています。また、第二部と第三部では近代の作品を検証し、エキゾチシズムの概念が時代と共にどのように変化してきたのかが語られています。