日本映画撮影監督協会の新たな挑戦
日本映画撮影監督協会(以下、JSC)は、文化庁が実施する「クリエイター等支援事業」の一環として、国際舞台で活躍できる映画撮影者の育成を目指す新しいプログラムを開始しました。このプログラムは、2023年10月にタイのバンコクで開催され、JSCが海外で初めて行う出資協力によるものです。日本の撮影監督が世界の第一線で活躍するクリエイターと直接対話することができる貴重な機会を提供しました。
タイでのマスタークラス
今回の取り組みは、単なる国際交流を超え、日本の撮影監督が海外でのキャリアを築くための実践的なスキルを学ぶ場となっています。このプログラムでは、撮影監督として中級から上級の技術を必要とする参加者を対象に、実践的なアプローチが採用されています。
マスタークラスでは、照明やカメラ技術の重要性、カラーグレーディング、最新のワークフローの実演が行われ、参加者は脚本からショット設計、レンズ選択、セット調整までの制作プロセスを体験しました。
また、このプログラムでは、ローレンス・シャー(Lawrence Sher, ASC)という世界的に有名な撮影監督が特別講師として招聘され、彼の経験に基づいたセッションが行われました。シャー氏はアカデミー賞やBAFTA賞にノミネートされるなど、多くの映画作品を手がけており、その豊富な経験を惜しみなく披露しました。
マスタークラスのスケジュール
- 午前:監督・撮影監督によるセッション/脚本分解
- 午後:Sony Rialtoシステムによるレンズテスト
- 短いシーンを3セッションに分けて撮影
- 夜:Q&Aセッション
- LUTワークフローとカラーコレクション
JSCメンバーの参加
JSCの協会員もオペレーターとして参加し、参加型のマスタークラスを実現しました。これにより、タイで活躍する若手ディレクターと意見交換を行い、グローバルプロジェクトを手がけるプロデューサーとの交流の場が設けられました。
また、日本とタイの映画人が協力し合うことで、次世代に求められる「グローバル視点での実践力」を磨く機会が創出されました。
今後の展望
JSCはこのマスタークラスを皮切りに、今後も国際的な撮影監督の育成を積極的に推進していく方針です。活動の最新情報は随時更新していくとのことで、より多くの撮影監督が国際舞台で活躍する機会が広がることが期待されます。
この取り組みを通じて、日本映画業界全体の未来に向けた新たな布石となることを願うばかりです。