第172回直木賞候補作に名を連ねた2作品
直木賞候補作が発表され、伊与原新さんの『藍を継ぐ海』、そして月村了衛さんの『虚の伽藍』がそのリストに名を連ねました。これにより、各作品の独自の視点やテーマが注目されています。
伊与原新『藍を継ぐ海』の魅力
伊与原新さんの『藍を継ぐ海』は、科学が人間に与える可能性や希望に焦点を当てた短篇集です。この作品には、徳島の中学生の少女がウミガメの卵を孵化させる過程や、北海道の女性が家族のために偽りを抱える様子などが描かれています。また、山口の島で伝説の土を探し続ける元カメラマンの男の物語も収められており、日常生活の中で忘れがちな大切なことに思いを馳せさせてくれます。
この本は、全五篇から構成されており、著者の独特な視点で書かれた作品群が、私たちに深い感動を与えてくれるでしょう。特に、科学の視点から見つめることによって未来への希望が描かれている点が際立っています。
著者プロフィール
伊与原新(いよはら・しん)は1972年に大阪で生まれ、東京大学で地球惑星科学を専攻しました。いくつかの文学賞を受賞しており、既に多くの著書を手がけています。(著書には『八月の銀の雪』『月まで三キロ』などがある。)
書籍情報
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タイトル: 藍を継ぐ海
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著者: 伊与原新
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発売日: 9月26日
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定価: 1,760円(税込)
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ISBN: 978-4-10-336214-2
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URL:
https://www.shinchosha.co.jp/book/336214/
月村了衛『虚の伽藍』のストーリー
一方、月村了衛さんの『虚の伽藍』は、バブル期の京都を背景に、仏教の宗派内での派閥争いや地上げ戦争を描いた壮大な社会派小説です。主人公の若き僧侶・凌玄は、寺を救うために宗務院で働く中、ある不正を発見してしまいます。この発見が、彼を権力者たちとの争いに巻き込む引き金となるのです。
物語は、凌玄がどのようにして欲望にまみれた環境に身を投じ、地位を確立していくのかを描写し、その裏には命懸けの決断が隠されています。果たして、彼の求道の旅の果てにどのような結末が待っているのか、読者は目が離せません。
著者プロフィール
月村了衛(つきむら・りょうえ)は1963年大阪に生まれ、早稲田大学を卒業後に作家として活動を開始しました。彼もまた数々の賞を受賞しており、幅広いジャンルの作品を手がけています(著書には『機龍警察』シリーズなど)。
書籍情報
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タイトル: 虚の伽藍
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著者: 月村了衛
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発売日: 10月18日
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定価: 2,200円(税込)
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ISBN: 978-4-10-339533-1
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URL:
https://www.shinchosha.co.jp/book/339533/
この2作品は、両作者にとって2度目の直木賞候補であり、彼らの活躍がさらに光り輝くのは間違いありません。選考会は2025年1月15日に開催が予定されており、どのような結果が待っているのか、期待が高まります。