森永乳業が主導するビフィズス菌測定法の国際規格採択
背景
森永乳業が50年以上にわたって行ってきたビフィズス菌に関する研究が、ついに国際的な規格として認められました。ビフィズス菌は腸内で様々な健康効果をもたらすとされ、特に乳製品におけるその含有量は非常に重要な指標です。これを基にした測定法が、今回国際標準化機構(ISO)および国際酪農連盟(IDF)によって改定され、新たにISO 29981 | IDF 220として採択されました。
新しい測定法の必要性
現行の培養法においては、ビフィズス菌の生菌数を測定するために、まずサンプルを希釈し、培地に入れてコロニーを育成、その後、育成したコロニーの数を計測します。この方法は広く用いられていますが、より安定的で効率的な測定が求められていました。そこで森永乳業は新しい培養法の開発に着手し、特に粉末製品での溶解温度や希釈液の見直しを図ることで、測定の精度を向上させることを目指しました。
改定プロセスの詳細
森永乳業はIDF日本国内委員会を通じて改定案を提出しました。2016年にはアクションチームが結成され、活動がスタートしました。このチームのリーダーは森永乳業の社員が務めています。改定案の策定にあたっては、国際標準法として広く使用されているISO 29981 | IDF 220に基づきます。具体的には、作業原案から国際規格案への進捗、それに対するコメントや投票のプロセスを経て、国際的に認められる規格が形成されていきました。
2023年には、日本とヨーロッパで研究所間比較テスト(ILS)が行われ、調製粉乳やビフィズス菌末、ヨーグルトのサンプルが用いられ、これに基づく統計解析が行われました。これにより、新しい測定法が他のISO文書で規定されている基準内で機能することが確認されました。
国際的な場での発表
2024年10月にはフランス・パリで開催されたIDFワールドデイリーサミットにおいて、本アクションチームの成果が口頭発表やポスター発表の形で報告されました。国際的な規格として発行されたことは、国内外の食業界においても注目されています。
今後の展望
2024年11月26日には、改定版のISO 29981 | IDF 220が発行予定です。この新しい測定法によって、ビフィズス菌を含む乳製品の品質がより一層向上し、健康志向の製品普及が加速すると期待されています。森永乳業は今後も国際的な基準の策定に積極的に参加し、業界全体の発展に寄与する企業であり続けていくことを目指しています。