青谷上寺地遺跡に初の女性復顔像が誕生
鳥取県の青谷上寺地遺跡は、弥生時代にさかのぼる交易の拠点として有名です。この遺跡では、数々の調査と研究が進められており、中でも出土した人骨をもとに人々の顔を復元するプロジェクトが注目を集めています。2025年3月20日、ついにこの遺跡では初の女性復顔像が公開され、多くの来場者を迎えました。
復顔像の誕生
復顔像は、弥生時代後期の女性をモデルにしたもので、約1800年前の人骨に基づいています。制作は2024年4月から開始され、国立科学博物館の協力を得て行われたこのプロジェクトでは、DNA解析に基づく詳細な特徴が描き出されています。この女性は30歳前後で、髪は太く直毛、肌は明るい色合いでそばかすやほくろは存在しません。特筆すべきは、彼女の大きな二重まぶたと濃い眉毛で、明るめの虹彩を持つとされています。
お披露目イベント
3月20日には、鳥取県知事の平井伸治氏が訪れ、地元の方々と共に復顔像の除幕式が行われました。これにより、青谷かみじち史跡公園の展示ガイダンス施設において、女性復顔像が正式にお披露目されました。この施設では、復顔像だけでなく、弥生の生活に関する展示も行われており、多くの来園者に喜ばれています。
公募イラスト展
お披露目の前には、弥生人の女性の顔を想像して描いてもらう公募企画も実施され、24件の応募作品が展示されています。小さなお子様が描いたかわいらしい絵から、プロフェッショナルなリアルなイラストまで、多彩な作品が集まり、来場者による優秀賞の投票が行われています。この催しは、地域社会が一体となり弥生時代の文化を楽しむ好機となりました。
青谷弥生人復元の背景
青谷上寺地遺跡ではこれまでに2人の復顔像が公開されています。初代復顔像は「青谷 上寺朗」と名付けられ、SNS上で大きな反響を呼びました。その結果、県はそっくりさんの募集を行い、多くのエントリーを受け付けました。2代目は「青谷 来渡」と呼ばれ、こちらも若者からの人気が高く、特に名前の募集には1239件も集まったそうです。
復顔技術の進化
復顔とは、頭蓋骨を基にその人が生前持っていたであろう顔を再現する技術です。近年では、DNA分析によって得られるまぶたの形状や髪の色、肌のトーンといった、顔の詳細な情報が復元に活用されています。これにより、よりリアルで説得力のある復顔像が作成できるようになりました。
青谷上寺地遺跡の重要性
青谷上寺地遺跡は、日本海を行き交う人々が集まった場所であり、交易の中心地として栄えていました。ここから発見された鉄器や銅鏡は、弥生時代の文化を示す重要な証拠です。同遺跡は2008年に国の史跡に指定され、全国的に重要な遺構として位置づけられています。出土品の中でも、1353点は国の重要文化財に指定されており、見応えがある展示が行われています。
青谷かみじち史跡公園
青谷上寺地遺跡の隣には、約7ヘクタールの広さを持つ青谷かみじち史跡公園が整備されています。ここでは弥生時代の自然環境を体感できる「自然景観体感地区」と、出土品の展示を行う「展示ガイダンス施設」が運営されており、2024年3月には正式に開園する予定です。来園者は、当時の生活や文化を肌で感じることができる貴重な体験が待っています。
まとめ
青谷上寺地遺跡における女性復顔像の公開は、地域の歴史と文化を見直すきっかけとなっています。今後の調査研究が弥生時代に生きた人々の生活をさらに豊かに明らかにすることが期待されます。