日本航空株式会社(JALグループ)は、2025年10月以降、日本国内の空港で貨物の積み付けや保管時に使用するストレッチフィルムの導入を開始します。今回のストレッチフィルムは、国内の航空会社として初めてマスバランス方式を活用したバイオマス素材で製造されているもので、環境負荷の軽減を目指した取り組みの一環として位置づけられています。
環境への影響とCO₂排出量の削減
このストレッチフィルムの導入によって、JALグループは年間およそ50トンのCO₂排出量を削減することができるとされています。これは、貨物業務における環境への配慮を強化する重要なステップです。JALでは、新規石油由来の使い捨てプラスチックの削減を掲げ、環境配慮素材の使用を進めています。今回のストレッチフィルム導入により、同社が掲げる中期経営計画「ローリングプラン2025」における貨物資材の全てに環境配慮素材を使用するという目標を達成する見込みです。
マスバランス方式の特性
マスバランス方式とは、複数の原料を製造過程で混合するにあたり、その割合に応じてそれぞれの原料の特性を製品に適切に割り当てる手法です。これにより、従来の石油由来原料を使用したストレッチフィルムと同等の品質を保ちながら、バイオマス素材を効果的に利用することが可能です。この方式を用いることで、大規模な設備投資を抑えつつ、原料の安定供給が期待されています。実際、今回導入されるストレッチフィルムには、バイオマス素材としてSAF製造過程での副産物を使用しており、資源の有効利用も実現しています。
また、導入されるストレッチフィルムは、約25%のバイオマス素材が配合されており、成田空港のJALカーゴサービス及びハンドリングにおいても、従来通りの高いハンドリング品質が確保されていることが実証されています。
製造協力会社の存在
このストレッチフィルムの製造には、三井化学株式会社、株式会社プライムポリマー、株式会社タニックス、司化成工業株式会社などの企業が関与しています。彼らの技術と協力により、JALグループは従来の物流業務においても環境に優しい選択肢を提供することが可能になっています。
今後、JALグループは限られた資源の有効活用に努めるとともに、その取り組みをさらに拡大し、お客さまに対して高品質な貨物郵便ハンドリングサービスを継続して提供していく方針です。今回のストレッチフィルムの導入は、環境意識の高まりを反映した新たな取り組みとして、他の企業や業界にも大きなインパクトを与えるでしょう。これにより、環境配慮型のビジネスモデルがさらに広がることが期待されています。