東京主要7区 オフィスビル市場:回復傾向が続くも、地域差は拡大
三菱地所リアルエステートサービス株式会社が発表した2024年10月末時点の東京主要7区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、品川区、江東区)の大型オフィスビル空室率・平均募集賃料調査によると、空室率は4.94%となり、3年9か月ぶりに5%台を切った。平均募集賃料は28,636円/坪と前年同月比で上昇しており、オフィス市場の回復傾向が続いている。
各区の状況
空室率
新宿区、渋谷区、品川区では回復傾向が見られ、特に品川区では大崎エリアを中心にリーシングが進捗したことが影響している。
一方、江東区では上昇しており、オフィス需要の回復が遅れている。
千代田区、中央区、港区は横ばいとなっている。
平均募集賃料
中央区、新宿区、品川区では上昇傾向が見られ、特に中央区では京橋エリアにおいて40,000円/坪超で募集が開始された物件が複数あったことが影響している。
渋谷区では下落している。
千代田区、港区、江東区は横ばいとなっている。
オフィス移転の傾向
2024年度上半期において、募集終了面積が新規募集面積を上回り空室消化が進んだことで、都心7区の空室率は回復した。しかし、都心部ではビルグレードや交通利便性の高い物件に需要が集中しており、物件やエリアによる差が顕著になっている。
今後の見通し
2024年度下半期は、港区で複数の大型物件の竣工が予定されている。これにより一時的に空室率が上昇する可能性もあるが、オフィス需要が堅調に推移する見通しとなっていることや、竣工予定物件のリーシングが比較的順調に進捗していることから、市場への影響は限定的であると考えられる。その他の6区においては、大型物件の竣工予定は無く、引き続き空室率は低下傾向が継続するものと思われる。
まとめ
東京主要7区のオフィス市場は、空室率の回復と賃料の上昇が続いている。しかし、地域や物件によって状況が異なるため、今後の動向を注視していく必要がある。